関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実 工藤美代子 産経新聞出版(2009/12/2)

目次----------------------------------------------------------------
第1章　大正12年9月1日―無間地獄の帝都―
驟雨と積乱雲の狭間から
被服廠界隈の火炎地獄
死者10万人超
東京の被害状況
在日朝鮮人の数
横浜から始まった
芥川龍之介の憤怒
江戸の崩壊
谷崎潤一郎
崩壊した横浜
飛行機で足で取材
手書きの号外
猛火の中の親任式

第2章　液状化する大正時代―朝鮮人激増―
永井荷風
与謝野晶子
国士、鉄幹
壬午事変
甲申政変
福沢諭吉
閔妃暗殺
日韓併合
「土地収奪」はあったのか
「改名」は強制ではない
皇太子訪韓
大正天皇「御不例」
火薬庫
アイルランド内戦
民族の大量移入
過激な抗日運動家

第3章　「流言蜚語」というまやかし―自警団は「正当防衛」だった―
吉野作造の暴論
自虐の系譜
「自警団」は自衛組織
死体の分別
いまそこにあるテロ
目撃談の真偽
不審火Ⅰ
不審火Ⅱ
火災の実地調査
幸田文、井伏鱒二

第4章　「襲来報道」を抑えた後藤新平の腹―戒厳令下の治安担当者たち―
自警団の「覚悟」
襲撃を伝える新聞
戒厳令
帝国ホテルの恐怖体験記
天皇の病状
天長節
その日の摂政宮
勅令による報道操作
「朝鮮人を救え」
正力松太郎
後藤新平
大風呂敷の腹芸
「符号」打ち消しに必死の警察
肉を切らせて骨を断つ

第5章　揺るぎない前提として書かれた虚構―「戒厳令違法説」と「朝鮮人虐殺」―
摂政宮、震災現場視察
方針転換の裏側
甘粕事件
戒厳令に疑義はない
国民に背を向ける歴史観
水野、赤池の奮闘
食料品の管理
自警団、警察の混乱
内田良平
黒龍会の調査報告
虚構の後始末
国難の超克

第6章　トリック数字がまかり通る謀略―「虐殺」人数の嘘―
「a few」
朝鮮人は何人いたのか
数字のトリック
震災の朝鮮人死者はゼロ？
内村鑑三の夜警
謀略文書
巧みな宣伝戦
トリック数字の政治的背景
嘘写真と嘘コピー
保護と自主的奉仕
「帝都復興」の序章
摂政宮の懊悩

第7章　「Ｘデー」は摂政宮御成婚式―波状攻撃を画策したテロ集団の実態―
「上海仮政府」の謀略
やはり標的は御成婚式だった
社会主義者との結託
「放火は同志が革命のためにやった」
朴烈と金子文子
「皇太子に爆弾を―」
抱擁写真流出
修羅去ってまだ
貞明皇后の叱咤
祈る皇太子
日本刀を持て、拳銃をとれ
虎ノ門事件

「あとがき」にかえて
より精緻な実証へ―「日韓併合」百年に向けて

[参考文献]

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　一方、戒厳令司令部は自警団等による過剰防衛容疑の日本人367人を起訴した。
　この調査報告に基づいて、無辜の朝鮮人が殺害された人数は233人であると公表された。同時に、朝鮮人と間違えられて殺害された日本人の数が57名、中国人4名も殺害されたとの発表があった。
　在日（東京とその周辺）人口9800人から、保護された朝鮮人6797人とこの無辜の被殺害者数233人を差し引くと2770人となる。この中に不幸にして震災の犠牲者になった者や行方不明者が含まれる。（朝鮮総督府関係文書、『現代資料6』）
　東京府全体の死者、行方不明者は7万人余（死者総計は10万5千人余）、下町界隈の死者は実にその80%といわれている。とりわけ朝鮮人も多く居住していた本所、深川一帯での死者、行方不明は5万8千人を超えている。
　被災し落命（行方不明者を含む）した朝鮮人の総数は2770人と算出されるが、その中にいわゆるテロリストの死者が含まれる。