ブーメラン 欧州から恐慌が返ってくる

ブーメラン 欧州から恐慌が返ってくる マイケル・ルイス(著)東江一紀(翻訳) 文藝春秋(2012/1/25)
目次----------------------------------------------------------------
序章 欧州危機を見通していた男
サブプライム危機の最中の2008年末、大儲けしたその男の関心は、遠い外国にあった。「これはもっと大きな危機の兆候にすぎない。ギリシャは2年以内に破綻する」

それは兆候にすぎない     銃と金     日仏の破綻に最大のチップをはる     ボードゲーム


第2章 漁師たちは投資銀行家になった
それは漁師たちの国だった。2003年にアメリカから投資銀行家がやってきた。「重要なのは金を借りて買って値段を上げること」。ぼろ資産を買いあさる金融国が誕生

破綻した元金融国家     ここをしのぐために金さえ貸してくれればなあ     猫を10億ドルで売り、犬を10億ドルで買う     とても変わった人たち     シカゴ大学からやってきたカナリア     そろそろ銭を扱うのをやめて、魚を扱う頃合いだ     魚を証券化する     高学歴には似合わない産業     男たちの世界     銀行家を信用するな     女性だけが合理的な運用をした    サガは語る


第2章 公務員が民間企業の3倍の給料をとる国
ユーロに加盟するためには財政赤字GDP比で3%以下にしなければならなかったギリシャは、国家支出を粉飾した。賄賂をうけとる公務員がゼネストをうつ倒錯の国

帳簿なき巨大赤字    ギリシャでは徴税できない     土地登記がない国     ヴァトぺディ修道院     修道院の秘密取引     修道院CFO      一枚の古証文からの錬金術     私利のみを追求する国民に未来はあるか


第3章 アイルランド人は耐え忍ぶ
外国から資金と人が流れ込み、由緒ある3大銀行が不動産融資に狂奔。しかし、そのバブルがはじけると銀行の借金を政府が保証、納税者であるアイルランド人はじっと耐える

借金と外国人に占領される     謎の経済成長     ある経済学者の違和感    カナリアは鳴く    わが銀行は健全である    穴蔵から引っ張りだされた賢人     誰もが落ちぶれた     酒場から首相が銀行保証書をファックス     溶岩がほんの少しこぼれただけ     メリル・リンチの報告書     解雇されたアナリスト     政府が債務を保証する     最後の貸し手も破産する     幽霊物件を見る     アイルランド人は耐え忍ぶ     おじいちゃんの卵(たま)げた冒険


第4章 ドイツ人の秘密の本性
危機に陥る欧州諸国の中で、ドイツだけが頼みの綱だ。ここにおいてドイツ人はギリシャ人の放蕩の付けを勤勉な自分たちが支払わなければならないのかという問いに直面する

ギリシャ人はドイツ人になれるか     玉突きの救済     現代ドイツ人にとってのユダヤ     ドイツの銀行家は慎ましやかである    わたしのけつを舐めたまえ     「世紀の空売り」の買い方     ユーロを1軍と2軍にわける案


第5章 あなたの中の内なるギリシャ
ギリシャで起こったことは対岸の火事ではない。飽食の末に、立ち行かなくなった自治体があちこちで悲鳴をあげる。誰もが自分のことしか考えないとき、大事な物が失われる

アメリカの中のギリシャはどこか     シュワルツェネッガーの回想     サンノゼの図書館は週休3日である     消防士と警官が半分になった街     太った雉は飛べない     消防士は語る


謝辞


解説 それぞれの不幸

                                                                                                                              • -

言い換えれば、アメリカのサブプライム・ローンがIKBに与える損失の額が150億ドルで止まったのは、ひとえにその市場が機能を停止したおかげだった。それ以外のどんな出来事も―どんな事実、どんなデータも―IKBに投資方法を改めさせる力を持たなかった。
 一見すると、IKBに勤めるドイツ人債券トレーダーたちは、シティグループやメリル・リンチやモルガン・スタンレーで一様に見境のない賭けを行った無謀なアメリカ人トレーダーたちによく似ている。しかし、そのじつ、参加しているゲームがまったく異なっていた。アメリカの債券トレーダーたちは、サブプライム債市場にひそむリスクを見誤って、勤め先の銀行を傾かせたかもしれないが、そのかたわら私腹をたっぷりと肥やすことも忘れず、しかも、ほとんどの場合、責任を追及されることがなかった。自行をリスクにさらすことがそもそもの業務なので、故意に損失を与えたかどうか、判別するのはむずかしかった。かたやドイツの債券トレーダーたちは、およそ10万ドルの年収に、多くて5万ドルのボーナスが加わる程度だった。概してドイツの銀行家たちは、自行を傾かせるほどのリスクを冒す報酬として、わずかな給料しか受け取っておらず、その事実が、自分たちの行う取引の意味をよく理解していなかったことを強く示している。ところが―ここが腑に落ちない点だが―アメリカの債券トレーダーたちと違って、ドイツ国民からは悪徳行員のような扱いを受けた。IKBの元CEOシュテファン・オルトザイフィンは(執行猶予はついたものの)懲役判決を受け、銀行からは給与の返還を求められた。その額、80万5千ユーロ。

ロウきゅーぶ!エンディングテーマ「Party Love〜おっきくなりたい〜」
【ちっちゃいならば、ちっちゃいなりの良さがあるって言うけれど・・・そんなの嘘! 気休めでしょ? はやくおっきくなりたい! 牛乳飲んで、豆乳飲んで、あそこのエビがEんだって! AAA・・・格付けなんていらない! おっきくなりたい! ドリブル ジグザグ ディフェンス オフェンス(んー!)・・・シュートがしたい はやくほめられたいの、あなたに『みてて、みてて、キメちゃうゾ!』】
僕は奇跡の世代だから。