災害時の栄養・食糧問題

災害時の栄養・食糧問題 板倉弘重(編集)近藤和雄(編集)渡邊昌(編集)日本栄養食糧学会 建帛社(2011/12)
目次----------------------------------------------------------------
序章 災害時への対応に向けて


第1章 災害時における栄養・食生活支援のための体制整備
1.はじめに
2.自助・共助
3.備蓄の種類
(1)現物備蓄
(2)流通備蓄
4.自治体の備蓄状況
5.備蓄のあり方
6.特殊食品
7.炊き出し
(1)炊き出し用献立の準備
(2)炊き出しへの人的支援


第2章 災害時に注意すべきたんぱく質不足の問題と対応
1.災時の栄養問題
2.飢餓時のエネルギー・たんぱく質代謝
(1)飢餓時のエネルギー代謝
(2)飢餓時のたんぱく質代謝
3.たんぱく質代謝とエネルギー代謝の相関
(1)たんぱく質利用に対するエネルギー摂取量の影響
(2)たんぱく質必要量に対するエネルギー摂取量の影響
(3)たんぱく質・エネルギー比率
4.たんぱく質必要量
(1)不可避窒素損失量
(2)窒素平衡
5.たんぱく質欠乏
6.災害時のたんぱく質供給
(1)災害時の食糧供給
(2)災害時のたんぱく質必要量
7.


第3章 災害時に注意すべきビタミン不足の問題と対応
1.はじめに
2.ビタミンとは
3.ビタミンの機能
4.ビタミン欠乏実験
(1)脂溶性ビタミン欠乏実験
1)ビタミンA欠乏実験    2)ビタミンD欠乏実験    3)ビタミンE欠乏実験    4)ビタミンK欠乏実験
(2)B群ビタミン欠乏実験
1)ビタミンB1欠乏実験    2)ビタミンB2欠乏実験    3)ビタミンB6欠乏実験    4)ビタミンB12欠乏実験    5)ナイアシン欠乏実験     6)パントテン酸欠乏実験    7)葉酸欠乏実験    8)ビオチン欠乏実験
(3)ビタミンC欠乏実験
5.潜在性ビタミン欠乏を推測する方法
(1)尿中のビタミン排泄量の測定
6.ビタミン不足から脱却する方法
(1)食品型ビタミンとビタミン剤の違い
(2)新型食品を活用できる人材の育成


第4章 災害時に注意すべきミネラル不足の問題と対応
1.はじめに
2.災害発生からの時間経過(フェイズ)別対応
(1)災害発生から72時間以内(フェイズ0‐1)
(2)災害発生4日から1か月(フェイズ2‐3)
3.災害時のミネラルに対する支援
(1)水・電解質
1)水分および電解質の必要量    2)脱水状態
(2)ナトリウムと高血圧
1)食塩感受性
(3)カリウム
1)供給源    2)カリウムと血圧    3)安全性と毒性①低カリウム②禁忌及び注意点    4)DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)
(4)亜鉛
1)食事内容と亜鉛吸収    2)亜鉛欠乏    3)亜鉛欠乏と免疫不全    4)亜鉛不足と炎症性疾患    5)亜鉛過剰と中毒
(5)マグネシウム
1)マグネシウム吸収とその恒常性    2)吸収に影響を与える因子    3)マグネシウム供給源となる食品    4)マグネシウム欠乏    5)マグネシウムと疾病およびその予防効果①血圧②骨粗鬆症③糖尿病④下痢や脂肪の吸収不良    6)高齢者    7)マグネシウムの過剰障害
(6)カルシウム
1)高血圧症と循環器疾患    2)その他の障害と対策    3)カルシウム過剰摂取の潜在的有害性
フランスにおけるホームレスに対する栄養学的援助:Vitapoche


第5章 災害時に学んだこと、伝えたいこと―日本栄養士会:東日本大地震
1.支援活動のプロローグ
(1)地震緊急対策本部の立ち上げ
(2)アメリカABCニュースが、南相馬市の管理栄養士の訴えを報道
2.実際の支援活動
(1)宮城県気仙沼市での支援活動
(2)岩手県での支援活動
(3)福島県いわき市での支援活動
3.管理栄養士、栄養士による支援活動
(1)避難所内被災者全体の栄養状態の改善と悪化防止
①栄養的に偏った食糧支援②過度な平等性による食糧分配③賞味期限内での分配
(2)ハイリスク者への対応
(3)傷病者への栄養食事指導と病者用特別用途食品等
(4)医療施設、福祉施設や在宅有病者への支援
4.まとめ


第6章 災害時に学んだこと、伝えたいこと―病院現場から:阪神・淡路大震災
1.はじめに
2.大地震発生時の病院と地域の状況―当日から1年後まで
(1)地震当日の様子
(2)発生1週間までの状況
(3)発生1か月後以降
1)1か月後    2)2か月後    3)6か月後   4)1年後
3.大震災を体験して
(1)大地震? どこかで聞いた話
(2)裏切られた思い込み
(3)クラッシュ症候群
(4)トリアージ
(5)ライフライン
4.震災から得られた教訓の数々
(1)建造物や設備の備え
(2)組織体としての備え
(3)医療面の備え
(4)情報の備え
5.危機管理のこと
6.おわりに


第7章 災害時に学んだこと、伝えたいこと―有効な非常食・災害食:中越地震
1.中越地震中越沖地震
2.災害食
(1)災害食とは
(2)なぜ新潟で災害食の研究なのか
3.被災生活における食と生活の問題
(1)被災生活における食と生活の状況―中越地震被災生活アンケートから―
(2)災害食の必要性
(3)災害食の食を必要としている人々
(4)ストレスを和らげるための食事
(5)排泄の問題
(6)避難所での生活状況―生活7領域の各領域における実態、問題対策―
4.現在の非常食・災害食と開発状況
5.環境に優しい災害時の食事対応
6.中越沖地震で起きたこと
7.東日本大震災の対応
8.まとめ:災害時の食によるトラブルを減らすために


第8章 災害時における栄養・食糧問題―まとめ
1.東日本大震災の状況
2.エネルギーとたんぱく質摂取の問題
3.ビタミン摂取の問題
4.ミネラル摂取の問題
5.食糧備蓄と物流
6.災害から学ぶこと
7.放射能汚染食品


索引

                                                                                                                              • -

 フランスでは、ホームレスの人々に対する栄養の確保と疾病罹患リスクをいかに下げるかが社会的に重要なことであるとの認識が高い。ホームレスの人々は、睡眠不足、高温環境にさらされる例が多い、移動のための歩行量(運動量)が多い、喫煙量と飲酒量が多い、血圧が高い等の特徴がみられている。そのために微量栄養素の不足が多い点と、抗酸化食品の摂取量が少ない等がおおきな特徴である。
 このホームレスの人々の中には著しい栄養不足により、壊血病、ウエルニッケ脳症、ペラグラの発症例もあるとのことであり、栄養状態が相当悪い人々も存在していることがうかがえる。その人々の栄養状態を良い状態に維持することを目的としたプロジェクトが行われている。NGOが中心となって、シェルターを訪れた人々に対して、詳細な栄養調査〈1998年)を行い、不足した栄養を中心として、廉価で利用しやすい、安全な栄養補給用パック商品を開発してきた。栄養学的に考慮したパック(第1次はPlumpy foodと称するものを開発し、それに基づいて現在は第2次製品としてVitapocheを開発)をシェルターを訪れた人々に与えている。Plumpy foodは50gのパックであった。このパック製品に対し多くの質問用紙による調査を行いより利用効率の高い、栄養学的に過量にもならず不足に藻ならない製品を開発した。それはVitapocheという名の製品で、チョコレート風味をつけた、カリウム、n-3系脂肪酸、カルシウム、亜鉛、ビタミンC、D、E、B1、B12、ナイアシン葉酸を強化したものである。不足するミネラルとして亜鉛カリウム、カルシウム、マグネシウムを加えている。下記にその内容の概要を示しておく。これらはシェルターを訪れた人々の約2/3が利用している。しかも安価であるとのことである。このような栄養学的な援助がフランスで行われていることは私たちも知っておく必要があると考え紹介した。

ひだまりスケッチ×365オープニングテーマ『?でわっしょい
「だれだれだれ だーれがだ はらはらはら ハラペコさん 女の子お菓子が主食だ ころころころ コロがって のびのびのびのび のんびりして 空を見よう おひさまにわっしょいでーす わっしょいでーす 夢で夢でみんなと おんなじ会話してたよ ?でわっしょい×365♪」