創価学会 もうひとつのニッポン

創価学会 もうひとつのニッポン 島田裕巳VS矢野絢也 講談社(2010/11/19)
目次----------------------------------------------------------------
まえがき 島田裕巳
第1章 創価学会どのようにして巨大組織になったか
カリスマ性が消えた池田名誉会長     創価学会入信の儀式と教義の魅力     「折伏」の実際     池田大作参謀室長と「小樽問答」     組織訓練になった大石寺参詣登山と選挙     池田参謀室長、選挙違反容疑で逮捕     高度成長期に地方から出てきた未組織労働者     空前の巨大組織が誕生した理由


第2章 国家権力奪取構想が破綻したとき
創価学会はなぜ政治に関心をもつのか     国立戒壇日蓮正宗を「国教」にする     牧口初代会長の「生活革新実験証明座談会」     国家諌曉−国家・権力の過ちを正す     理想的な宗教国家を作り上げる野望     言論出版妨害事件     「次は総理としてお迎えいたします」      公明党の政策決定システム     国会喚問を恐れ「国立戒壇」の理想を捨てる     学会組織の二重構造と不透明性     田中角栄幹事長の仲介     共産党について     政教分離−政権奪取構想の破綻     見ているのが辛くなる学会員の選挙


第3章 これが創価学会公明党の根本的ジレンマだ
創価学会公明党から見た戦後日本     日中国交正常化の内幕     ノーベル平和賞への一里塚?     創共協定の本当の狙い     後門の狼、宗門との戦争     僧侶批判ツール     創価学会の根本的なジレンマ


第4章 巨大組織創価学会はなぜ分裂・衰退すないのか
信教の自由と政教分離     国税調査と宗教法人の非課税     巨大な世間=コスモスの成立     分派・分裂がなく権力継承の文化もない奇妙な組織     創価学会の脱宗教的体質     霊魂を重んじない珍しい宗教集団     元幹部に対する激しい攻撃


第5章 ポスト池田時代の創価学会公明党はどうなる
与党入りした公明党−非自民細川政権から自公連立へ     自公選挙協力システムの完成     自民党政治とは異質なものの始まり     学会・公明票の確固とした存在感     学会というもうひとつのニッポン     創価学会の次のリーダーの求心力     ポスト池田−カリスマの不在      莫大な資産と700万票の行方     問われる宗教法人の公益性


あとがき 矢野絢也

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矢野 そうですね。だから小沢さんは、そういう意味では、極めて非自民党的な人なんですよ。外から見れば、そういうタブーを犯したわけです。自民党的な枠そのもの、文化みたいなものを破壊した人。
島田 総裁候補を呼びつけて面接した、などという事件もありましたね。
矢野 そうそう。あのへんから、ちょっとやりすぎだなと思うんだけど。まあ、小沢さんなりの政治信念で、今日に至っているわけですがね。政治改革の名において、党の幹事長の権限が従来の100倍くらい強化されるわけですよ。つまり小選挙区制は1人区で1人しか当選できない。党本部が一人の候補者を公認するということであって、複数の派閥が候補を出せる中選挙区制ではない。だから小選挙区制においては、公認権を握っている幹事長の権限が絶大になる。そして政党助成金制度ができたから、大政党だと百何十億円という金が、幹事長のもとで掌握されることになる。公認権と莫大なお金。それまで政党の幹事長や書記長というのは、まとめ役であり、スポークスマンだったのが、政治改革以来、本当の権力者になってしまったんですね。その制度をつくったのが小沢さんで、ノウハウを正しく知っていたのも小沢一郎さんということになるわけですね。
島田 なるほどね。小沢さんの場合には、お父さん(小沢佐重喜)も小選挙区制論者でしたから。小選挙区にするための委員会の委員長などをずっとやってましたね。
矢野 そうでしたか。それなら思いつきでやったわけでわないですね。
島田 ええ。小選挙区制と幹事長の権限が、二つ組み合わさることによってでき上がったんだろうと思うんです。その意味で小沢さんの戦略は、非常にはっきりしていますね。幹事長のポストを最重要視して、権力を掌握する構造を作り上げたということです。
矢野 だから小沢ガールズみたいなものができるわけですな。彼が公認し、応援し、面倒を見て、政党助成金をつけるわけですからね。
島田 でも、これは結局、小沢さんだけが考えたことであって、普遍性がないように思えますが、どうなんですかね。
矢野 それは、ほかの政党ではこういうことはできないでしょう。しかし、公明党だって政党助成金は、大いに助かるわけですよ。学会に頭を下げ、パンフレットを買ってもらって選挙資金を作っていたのが、お上から何十億ともらえるわけですからね。これはものすごく楽ちんですよ。でも使い道については多少の裁量はあるにしても、公明党から学会に上納金が行ってるというようなことはないと思いますよ。
島田 いろいろ言われてはいるんですけど、ないですよね。むしろ助成金がでるまでは、学会の方がずっと―
矢野 面倒見てきたんですからね。パンフレットで10億とか15億くらいの売り上げをひねり出して。でないと公明党、選挙できないわけですから。人的パワーもお金も、何もかもお任せでした。助成金のおかげで、お金だけでも楽になったということだろうと思います。公明党は、ある程度ガラス張りで運営していると思いますよ。お金にことでは、学会にそれほど頭を下げなくても済むようになった、ということだろうと思うんですよ。

英のスコットランドぐらいの規模か? 都市拠点だけども。