インテリジェンスの基礎理論
インテリジェンスの基礎理論 小林良樹 立花書房(2011/3/1)
目次--------------------------------------------------------------------------------
はしがき―なぜインテリジェンスの理論を学ぶのか
◎インテリジェンスを学ぶ意義
◎インテリジェンスの「理論」を学ぶ意義
第1章 インテリジェンスとは何か―定義、機能、特徴
1.インテリジェンスの定義
インテリジェンスの三つの意義 ①プロダクトとしてのインテリジェンス(Intelligence as Product) ②プロセスとしてのインテリジェンス(Intelligence as Process) ③組織としてのインテリジェンス(Intelligence as Organization)
2.インテリジェンスの機能
(1)インテリジェンスとは政策決定プロセスを支援するためのものである (2)インテリジェンスとは国家安全保障に関するものである
3.インテリジェンスの特徴
(1)インテリジェンスという機能は決して新しいものではない (2)インテリジェンスとは情報(インフォメーション)から分析・加工されたものである (3)インテリジェンスと政策立案・政策決定の峻別の必要性 (4)インテリジェンス活動の秘匿性の確保 (5)その他の特徴点 ◎インテリジェンスの素材としてのインフォメーション:公開情報と秘密情報 ◎「短期的インテリジェンス」と「中・長期的インテリジェンス」 ◎インテリジェンスの対象の拡大と多様化 ◎友好国や同盟国を対象としたインテリジェンス活動 ◎「海外インテリジェンス」と「国内インテリジェンス」の区別 ◎法執行機関とインテリジェンスの関係
第2章 インテリジェンス・プロセス
1.インテリジェンス・プロセスとインテリジェンス・サイクル
◎インテリジェンス・プロセスという概念の有用性
2.インテリジェンス・プロセスの各段階
(1)総論
(2)第一段階:リクワイアメント(注文)の決定(Identifying Requirements)
(イ)リクワイアメントの重要性 (ロ)リクワイアメントの決定・付与のシステム(政策決定部門とインテリジェンス・コミュニティの結節点) (ハ)課題:「インテリジェンスと政策決定・政策立案の峻別」の原則とのバランス
(3)第二段階:素材情報の収集(Collection)
(4)第三段階:素材情報の加工(Processinng and Exploitation)
(5)第四段階:分析と生産(Analysis and Production)
(6)第五・六段階:報告の伝達、消費(Dissemination and Consumption)
(イ)インテリジェンスの配布・消費のチャンネル ①大統領に対する毎朝の定例インテリジェンス報告(PDB:President's Daily Briefing) ②国家インテリジェンス評価(NIE:National Intelligence Estimate) ③連邦議会に対する年次脅威評価報告(Annual Threat Assessment) (ロ)インテリジェンスの伝達・消費に関わる問題点
(7)第七段階:フィードバック(Feedback)
3.その他
第3章 インテリジェンス・コミュニティ―日米の組織
1.総論
◎コミュニティ構成メンバーの二つの形態 ◎インテリジェンス・コミュニティの在り方を考える意義
2.日本のインテリジェンス・コミュニティ
(1)政策決定部門とインテリジェンス・コミュニティの結節点
(2)コミュニティの概要
◎内閣官房内閣情報調査室 ◎その他の主要な構成メンバー
(3)日本のインテリジェンス・コミュニティの特徴
◎コミュニティの規模・活動が比較的小規模であること ◎コミュニティの統括機能が弱いこと
3.米国のインテリジェンス・コミュニティの結節点
(1)政策決定部門とインテリジェンス・コミュニティの結節点
(2)コミュニティの概要
①ODNI(国家情報長官室:Office of the Director of National Intelligence) ②CIA(中央情報局:Central Intelligence Agency) ③DIA(国防情報局:Defense Intelligence Agency) ④FBI(連邦捜査局:Federal Bureau of Investigation) ⑤NGA(国家地球空間情報局:National Geospatial-Intelligence Agency) ⑥NRO(国家偵察局:National Reconnaissance Office) ⑦NSA(国家安全保障局:National Security Agency) ⑧DEA(薬物取締局:Drug Enforcement Administration) ⑨エネルギー省(Department of Energy) ⑩国土安全保障省(DHS:Department of Homeland Security) ⑪国務省(Department of State) ⑫財務省(Department of the Treasury) ⑬陸軍(United States Army) ⑭海軍(United States Navy) ⑮空軍(United States Air Force) ⑯海兵隊(United States Marine Corps) ⑰沿岸警備隊(United States Coast Guard)
◎機能別に見たインテリジェンス機関の分類
(3)略史
◎インテリジェンス・コミュニティの成立 ◎インテリジェンス・コミュニティの成立(1947年) ◎インテリジェンス・コミュニティの改編(2004年)
(4)米国のインテリジェンス・コミュニティの主な特徴点
◎巨大かつ複雑な機構 ◎比較的短い歴史 ◎東西冷戦の影響 ◎科学技術(テクノロジー)への大きな依存 ◎コミュニティ内の各機関間のライバル関係
(5)米国のインテリジェンス・コミュニティに影響を与えた主な歴史的出来事
◎MAGICとULTRA(1941−1945年) ◎真珠湾攻撃(1941年) ◎朝鮮戦争の勃発(1950年) ◎イラン・クーデター(1953年)、グアテマラ・クーデター(1954年) ◎ビックス湾事件(1961年) ◎キューバ・ミサイル危機(1962年) ◎ベトナム戦争(1964−1975年) ◎インテリジェンス機関の不正活動疑惑(1975−1976年) ◎イラン・コントラ事件(1986−1987年) ◎旧ソ連の崩壊と東西冷戦の終了(1989−1991年) ◎エイムズ・スパイ事件(1994年)、ハンセン・スパイ事件(2001年) ◎9・11テロ事件と対テロ戦争(2001年〜) ◎イラク戦争(イラクの大量破壊兵器(WMD)問題)(2003年〜)
第4章 インフォメーションの収集
1.総論〜情報源の違いに基づく分類
◎公開情報に基づくインテリジェンス(オシント:OSINT:Open Source Intelligence) ◎人的情報に基づくインテリジェンス(ヒューミント:HUMINT:Human Intellgence) ◎技術的情報に基づくインテリジェンス(テキント:TECHINT:Technical Intelligence)
2.公開情報に基づくインテリジェンス(オシント:OSINT:Open Source Intelligence)
(1)概要
(2)OSINTの長所
(3)OSINTの短所
3.人的情報に基づくインテリジェンス(ヒューミント:HUMINT:Human Intellgence)
(1)概要
(2)秘密の人的情報源を通じた非公開情報の収集
(イ)人的リクルート
①ターゲットの選定(Targeting & Spotting) ②ターゲットの評価(Assessing) ③リクルートの実施(Recruiting) ④情報源の運用(Handling) ⑤運用の停止(Termination)
(ロ)人的情報源の保護
(3)HUMINTの長所
(4)HUMINTの短所
(5)HUMINTの直面する問題点
(イ)熟達したHUMINT担当者の確保
(ロ)犯罪者を情報源として運用することに関する倫理上の問題
(ハ)諸外国との渉外(リエゾン)関係
4.信号情報に基づくインテリジェンス(シギント:SIGINT:Siginals Intelligence)
(1)概要
(2)SIGINTの長所
(3)SIGINTの短所
(4)SIGINTの直面する問題点
(イ)通信量の増加
(ロ)語学力の不足
5.地球空間情報に基づくインテリジェンス(ジオイント:GEOINT:Geospatial Intelligence)
(1)概要
(2)GEOINTの長所
(3)GEOINTの短所
(4)GEOINTの直面する問題
6.まとめ
(1)各インテリジェンス手法間のバランスの問題
(2)「情報源・情報収集方法の秘匿の必要性」と「情報共有の必要性」のバランスの問題
第5章 インフォメーションの分析
1.「優れたインフォメーション・プロダクト」とは何か
◎大前提:客観性の維持 ◎基準1:タイムリーであること ◎基準2:政策決定者の注文どおりに仕立ててあること ◎基準3:注文者にとって容易に理解可能であること ◎基準4:「判明している事実」と「判明していない事実」、「結論を支持している要素」と「結論を支持していない要素」等が明確に示されていること
2.分析をめぐる諸問題
(1)「インテリジェンスの政治化(Politicized Intelligence)」の問題
◎政治家がインテリジェンス側によってなされる場合 ◎政治化が政策決定者側によってなされる場合
(2)分析担当者(アナリスト)の直面する課題
(イ)ミラー・イメージング(Mirror Imaging) (ロ)クライアンディズム(相手方過信症:Clientism) (ハ)レイヤーイング(積み重ね現象:Layering) (ニ)グループ・シング(付和雷同:groupthink)
(3)その他の問題
(イ)「麦ともみ殻」問題(The Wheat versus Chaff Problem) (ロ)「競争的分析(Competitive Analysis)」と「情報共有の必要性」のバランスの問題 (ハ)分析部門と収集・秘密工作活動部門の適切な関係
3.分析のプロセス
(1)分析すべき課題(リサーチ・クエッション)の設定
(2)「分析枠組み」の全体像の設定
(イ)能力と意図 (ロ)国内情勢と対外関係
(3)個別のインフォメーション(素材情報)の分析・評価
(イ)比較による相対化〜「縦の比較」と「横の比較
◎他者との比較 ◎時系列的な比較(縦の比較)
(ロ)クロス・チェック
(ハ)情報源の信頼性の評価
(4)結論の明示
第6章 その他のインテリジェンス機能
1.カウンターインテリジェンス(Counterintelligence)
(1)総論
(イ)カウンターインテリジェンスの定義と位置付け
(ロ)カウンターインテリジェンスの対象
◎東西冷戦終了とカウンターインテリジェンス ◎軍事同盟国や友好国の活動に対するカウンターインテリジェンス ◎「非国家的」主体の活動に対するカウンターインテリジェンス
(2)カウンターインテリジェンスの担当機関
(イ)日本 (ロ)米国
(3)カウンターインテリジェンスの機能:「防衛的な機能」と「攻撃的な機能」
(イ)防衛的な機能 (ロ)攻撃的な機能
(4)カウンターインテリジェンスの直面する課題
(イ)解明の困難性 (ロ)立証、立件の困難性 (ハ)膨大なコスト (ニ)サイバー問題との関連性
【コラム:事例紹介】
◎オルドリッチ・エイムズ(Aldrich Hazen Ames)・スパイ事件 ◎ロバート・ハンセン(Robert P.Hamssen)・スパイ事件
2.秘密工作活動(Covert Action)
(1)総論
(イ)秘密工作活動の定義と位置付け
(ロ)秘密工作活動の類型
◎プロパガンダ(宣伝扇動工作)活動 ◎政治活動 ◎経済活動 ◎クーデター ◎準軍事的活動(Paramilitary Operations)
(ハ)秘密工作活動をなぜ行うのか〜秘密工作活動の正当性
(2)秘密工作活動の直面する課題
(イ)正当性、倫理的問題 (ロ)政府の関与の否定(Plausible Deniability) (ハ)適切な監督の実施 (ニ)秘密工作活動の評価
第7章 インテリジェンスの課題〜伝統的な課題から新たな課題へ
1.伝統的な課題〜「国家の動向」の枠組みで捉えられる問題(Nation State Issue)
(1)東西冷戦時代
◎対ソ連インテリジェンスの特徴
(2)東西冷戦終了後
2.新たな課題〜「非国家的問題」(Non-State Issue)、「国境を越えた問題」(Transnational Issue)
(1)総論〜東西冷戦終了の「空白の10年間」、そして9・11テロ事件
(2)各論
(イ)テロリズム
(ロ)大量破壊兵器の拡散問題
(ハ)サイバー問題
◎ウイルス攻撃 ◎DDOS(分散型サービス妨害)攻撃 ◎サイト書き換え
(ニ)違法薬物取引問題(国際組織犯罪問題)
(ホ)国際経済問題
(ヘ)健康・環境問題
第8章 インテリジェンス機関に対する民主的統制
1.総論
(1)基本的な考え方:「民主的統制」と緊張関係にある諸要素とのバランス
◎「民主的統制」と「政治的濫用の防止」のバランス ◎「民主的統制」と「秘匿性の確保」のバランス
(2)統制の在り方(手法と主体)
(イ)統制の手法
◎インテリジェンス機関の長の任命プロセスを通じた統制 ◎インテリジェンス機関の予算プロセスを通じた統制 ◎インテリジェンス機関の存在・活動根拠の制定を通じた統制 ◎インテリジェンス機関の活動内容に対する監査を通じた統制
(ロ)統制の主体:立法府による統制と行政府による統制
◎立法府による統制の長所、短所、論点 ◎行政府による統制の長所、短所 ◎両者の関係
2.米国における民主的統制の制度
(1)総論
(2)行政府による統制制度
(イ)大統領府(ホワイトハウス)直轄の常設の組織 (ロ)大統領府(ホワイトハウス)が臨時に設置する特別の組織 (ハ)各インテリジェンス機関内の監察組織
(3)立法府(連邦議会)による統制制度
(イ)予算の承認 (ロ)人事の指名承認 (ハ)証言・報告等の要求、議会調査 (ニ)立法府による統制の直面する課題:機密保持とのバランス
3.その他の国における民主的統制の制度
◎ドイツ ◎フランス ◎英国
4.日本における状況
(1)概観
(2)今後の見通し
第9章 日米のインテリジェンスコミュニティの改編をめぐる動向
1.日本におけるインテリジェンス機能の強化に向けた取組み
(1)背景事情〜各種の提言
①リクワイアメントに関する問題 ②インフォメーション(情報)収集能力に関する問題 ③インフォメーション(情報)分析能力に関する問題(コミュニティの取りまとめ能力に関する問題) ④カウンターインテリジェンスに関する問題 ⑤インテリジェンス・コミュニティに対する民主的統制の問題
(2)政府における取組みの動向
(イ)情報機能強化検討会議と「官邸における情報機能の強化の方針」 (ロ)カウンターインテリジェンス推進会議と「カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針」
(3)まとめ
2.米国におけるインテリジェンス・コミュニティの改編
(1)国家情報長官(DNI)制度の創設の背景と意義
(2)制度改編をめぐる問題点
(3)各個別論点の検討
(イ)国家情報長官(DNI)の地位(ステイタス) (ロ)国家情報長官(DNI)の持つ組織的マンパワー (ハ)大統領からの支援 (ニ)国家情報長官(DNI)の人事権限 (ホ)国家情報長官(DNI)の予算権限 (ヘ)インテリジェンス・コミュニティの活動の質の向上の有無
(4)結論〜DNI制度の現状に対する評価と将来の見通し
参考資料1 官邸における情報機能の強化の方針 H20情報機能強化検討会議
参考資料2 カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針 H19カウンターインテリジェンス推進会議
事項索引
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更に、そもそも、リチャード・ベッツ(Richard Betts)コロンビア大学教授等が指摘しているとおり、現在のインテリジェンス・コミュニティが直面している最大の問題点の一つに「インテリジェンスの政治化の可能性」という問題がある。(かかる観点からは、当然のことながら、インテリジェンス・コミュニティは政治からは一定の距離を置くことが期待される。)それにもかかわらず、DNIが大統領との個人的な人間関係等の政治力に依存しなければ自己の制度を維持・運営し得ないという実情は、現行制度が深刻な自己矛盾を内包していることを示唆しているとも言い得よう。
シュタゲ21話 岡部「独善的なんていられるかっ!! 狂気のマッドサイエンティスト?鳳凰院凶真? そんなの全部妄想だっ!設定だっ! 気付かなかったのか」 牧瀬「・・・初対面で気づいてましたが」
バイト戦士もいいけど、やっぱ牧瀬だな。
誰か震災時のをまとめてください。