憲兵―元・東部憲兵隊司令官の自伝的回想

憲兵―元・東部憲兵隊司令官の自伝的回想 大谷敬二郎 光人社(2006/06)
目次

満州事変勃発の前後―関東軍と関東憲兵
憲兵一年生  事変の前夜  柳条溝事件の勃発  板垣参謀一喝さる  張学良邸金庫爆破事件  溥儀の来満と馬賊の処刑

・軍都千葉―時局に動く将校たち
妻に抵抗する「革新」の老将軍
荒木は国賊だ  白刃に脅かされた警察部長  神代文字の家  妻をまいて豪遊する  金をくれといえばくれるのか  

酔っぱらい将校は革新の闘士
憲兵をどなりつける  教育総監に辞職の強要  目下謹慎中

・戒厳司令部の幕僚たち―事件捜査の裏におどる
勢いづく清軍派幕僚  消えた不純幕僚の粛清  戒厳参謀長を調べる  削除修正は困る  憲兵統帥権を侵している

・暗黒裁判に思う―つぶさに世情を体感して
暗黒裁判のかげに
賢崇寺に集まる人びと  遺族たちの苦悩  香田との因縁  遺族を助けよう  

真崎の無罪を祈る心
心境の変化  真崎公判始まる  真崎の無罪を祈る心  真崎家の訪問

・反軍のひととき―国民の目は正しい
国民の軍を見る目  組閣の大命宇垣に下る  痛憤に満つ組閣本部  陸軍省参謀本部に突入せよ  犯人は国民の声

・奇妙な警察務―狂人2題
奇妙な依頼  狂人の説得  皇太后さまのご愛顧をうけている  虚構の身辺保護

・万歳に沸く兵営街―応召兵の二つの窃盗事犯
紙幣を抜き取った慶応ボーイ
なくなった五枚の百円紙幣  わたしの演技

女と兵隊
家宝の紛失  犯人は応召兵  彼女の父は私の恩人  家宝は彼女への餞別に  囚人か靖国の神か  彼女の慟哭

・国外に追放された男―浅原健三を中心にして
竜田丸船上の人  事件はデッチ上げか  事件の始末  浅原、上海に落ちつく  東条の執念  京都における石原  満州組の人びと

・排英運動の高まり―そのこれを動かすもの
まき起こされた排英旋風  排英をあおるもの  治安の危機  山本海軍次官憲兵護衛  排英の火は消えず  事件の謀議  神戸における緊張  伊藤構想とその裏づけ

・政治の中の憲兵―その反省と痛恨
政治と憲兵  原田男爵の軍事機密漏洩事件  憲兵政治という言葉  政治季節と憲兵  須摩情報部長事件の真相  「政治革新」に酔った憲兵  政治弾圧に狂奔した憲兵  中野正剛の自決  重臣抑圧のための政局安定工作  軍の政治横暴と憲兵の責任

・スパイ物語二題―潜入スパイとデッチ上げスパイ
潜入スパイとその逆用
東京に潜入したスパイ  スパイの逆用  大阪にも潜入していた

スパイにされた男
横須賀憲兵のスパイ検挙  スパイにされた男  なにがそうさせたのか

・南方占領地軍政に干与して―現住民政策の反省など
軍政における民心の把握
掃蕩作戦という名の華僑粛清  河村少将の述懐  財の搾取、華僑献金  マライ人のさらし首  民心の把握というもの

憲兵の宿命を知る
憲兵ならざる憲兵  あいつにはいじめられた  師団長をやりこめる

・戦争末期の朝鮮―戦争が与えた傷痕は深い
戦争と総督政治  民族の心を無視した皇民化運動  朝鮮独立は民族の悲願  私の思い出・開城への旅

・空襲と共に東京へ―本土戦場化とその警察
本土戦場化へ  戦争遂行を阻むもの  志気沈滞の軍需省  反戦和平の動き

・殺人光線にからまる「科研」騒動―大発明家か大詐欺漢か
技術大尉の告発  謎の男  水からガソリン  菅中将の言い分

・敗戦と憲兵の終焉―その悲惨なる末路
聖断下る  降伏決定に至るまでの紛糾  八月十五日  憲兵部隊の動揺  厚木進駐を前にして  憲兵の終焉

あとがき

このことの真偽は、わたしの保証の限りではない。菅中将がこうした話をしたことは間違いないことである。もちろん、このわたしには、技術的にどうこうといった判決を下すことはできない。専門の技術屋の言い分を肯定するよりほかに途はなかった。
しかし、天才とはこんなものだろうか。この男の身分素姓には、わたしたちの常識では、たしかに疑われるべき節が多い。この男は、菅中将には十六年にドイツやり帰国したと語ったといわれるが、すでに昭和十年ごろから日本在住のあとを残している。なんのための虚偽か、疑えば疑わしい男である。
さきに述べた水からガソリンの例のように、この実験はどんなかたちで行われたものか、照射というもどれだけの距離でなされたものか、巧妙なインチキをやろうとすれば、魔術使いのようにできたのではあるまいか。また、一度これに成功したとしながら、すぐこわしてしまったというのも、どういうものか。こうした常識的な疑問が起こらぬではない。しかし一面発明狂といわれるように、発明発見に明け暮れている前歴者であることも、また事実であるとすれば、この殺人光線のアイデアもあながち荒唐無稽とけなしてしまうわけにもいかない。いま一歩、突き進んで徹底的に彼を洗うことによって、技術面とは別に、彼の本体があばかれるかもしれない。だがそれには、彼をもはや憲兵隊に呼び出すよりほかに手段はない。が、それはこの戦勢挽回の転機をなすであろう大発明が砕けて、この国の滅亡につながる。わたしは、あれこれ考えた末、部下たちの反対を押しきって、このケースは、そのことの一日も早い成功を祈りながら、あえて疑問を懐きながら、これを捨てた。敗戦二ヶ月前のことであった。
終戦後、進駐軍の調査では、この殺人光線の研究は、ねずみを殺す程度のものだったと発表されたように記憶しているが、はたしてそのとおりのものであったのか、あるいは終戦のころには、もっとよい成果にまで進めていたものか、このわたしには知る由もない。
天才と狂人、詐欺漢か発明家か、Xなる人物については、わたしはいまでも疑問の男だと思っている。

Angel Beats!3話 校則に反し校内あちこちに貼られてるガルデモのライブポスターを剥がす天使ちゃん。それを「これぐらい見逃せよ生徒会長!」「そうよ、ガルデモのライブは私たちにとっての唯一の楽しみなのよ!」「それを奪うな!」「そうだそうだ!」と生徒たちに言われる。天使ちゃんは一人廊下で歩きポスターをみながら「まるで悪役ね」とぽつりと言う。
もう僕はAngel Beats!5話はやるせない怒りにふるえたよ〜。天使ちゃんをいじめるなー!!
僕は4話の天使ちゃんの野球帽姿で成仏してるだろうな。