沖縄 悲遇の作戦―異端の参謀八原博通

沖縄 悲遇の作戦―異端の参謀八原博通 稲垣武 光人社;新装版版(2003/12)
目次

まえがき

第1章 青雲の志
古着の新入生  母のない家  大正デモクラシー  CとD  語学の問題  原隊を失う  旅順へ

第2章 参謀将校の道
陸大最年少の学生  塞翁の馬  アメリカ留学  二・二六事件  陸大兵学教官  異端の兵学

第3章 タイ・マレー潜入
雑貨商に化けて  タイ抱き込み工作  日米戦争への道  田村武官の苦悩  はやる南方軍  晩餐会の奇計  姿見せぬピブン首相  バンプー街道  平和進駐成る

第4章 左遷
悶々の情  対ソ戦一色の陸大教育  すね者  アメリカの戦争機械  水陸両用作戦

第5章 沖縄へ
三等軍参謀  俊寛  航空要塞  兵力集中を説く  戦備整う  決戦計画

第6章 育つ悲劇の種
飛行場か陣地か  硫黄島の戦訓  ふりかかる火の粉  那覇大空襲  台湾沖航空戦  虎の子兵団抽出

第7章 決戦から持久へ
ボタンのかけちがい  新作戦計画  自戒  サソリの二つのハサミ  嵐の前の静けさ  島民疎開

第8章 戦雲迫る
増派中止  「必勝の途」パンフレット  サンゴ礁をぺトンに  砲兵の集中運用  陸海軍作戦の分裂  つるの空軍の不満  張り付け特攻ならず  最後の手紙

第9章 米軍上陸
エープリル・フール  八原孤立  激論  攻勢中止  米空母部隊の防禦力を低く評価  夜襲失敗  もぐら暮らし

第10章 鉄と血の闘い
耕す戦法  洞窟陣地と馬乗り戦法  軍主力北上  参謀長の涙  粘着力  最後の攻勢失敗  神参謀、本土へ

第11章 敗亡
戦線崩れる  初めての根回し  後退作戦の是非  悪天候と敵の油断  断末魔  生死の関頭に迷う  戦陣訓の呪縛  沖縄戦の決算

第14章 脱出
難民に化けて  嘲笑う幻影  危機一髪  身分露見  敗戦を知る  

第13章 苦渋の戦後
死の誘惑  傷心  父帰る  貧窮問答  衰えぬ情勢観察力

文庫版のあとがき

資料 沖縄軍の主要編成  沖縄攻略米軍の編成
主要参考・引用文献

日本軍にとって、最大の脅威は、米軍の強力な戦車だった。しかし47ミリ速射砲の配備された陣地では、米戦車をつるべ射ちしたし、また野砲も的確な射撃で、しばしば米戦車を撃破した。さらに急増爆雷を抱いた兵も、戦車に体当たりした。
このため、米軍は戦車を集中使用して日本軍陣地線を強行突破する戦術―これは八原が最も恐れていたものであったが―を取らず、戦車を前面に押し立てて、戦車砲や搭載火焔放射器で、洞窟の入り口や掩蔽陣地をしらみつぶしにして行く戦法を取った。また歩兵は戦車に随伴して、日本兵爆雷特攻から戦車を擁護するという、各個の歩戦協同方式を採用した。
これは、急速な戦勝は望めないが、着実な戦法であり、特に後期になって、日本軍の砲兵力がおとろえたとき、加速度的に効果を増して行った。
米軍は初めのころ、日本軍の強固な洞窟陣地の実態をつかめず、まっ正面からぶつかって、大きな損害を出した。嘉数高地攻防戦でも、米軍は初め突撃して高地頂上を奪取したが、たちまち反対斜面から猛烈な迫撃砲の集中砲火を浴び、全滅に近い損害を受けて後退している。
この戦訓にこりて、米軍は、「耕し、そして浸透する」戦法に転換した。無尽蔵とも見える砲爆弾で、日本軍の陣地を耕し、洪水のようにじりじりと、全面にわたって前進する。どんな強固な陣地でも、必ず手薄なすき間があるから、その弱点が見つかれば、大河の水が堤防の小さな穴からふき出すように、そこに兵力を集中して突破する。物量を誇る米軍にとって、この戦法が最も人命の損害が少ないと判断したのであろう。
しかし沖縄上陸の第十軍を掩護して周辺海面に展開し、連日神風特攻機の攻撃を受けている海上部隊にとっては、第十軍の遅々とした進撃ぶりは我慢ならないものであったらしい。中部太平洋隊司令官のスプルーアンス提督は、五月初めの私信のなかで、こう述べている。「・・・硫黄島攻略は海兵隊にとって非常にきつい任務であったが、彼らはそれを26日間でやりとげた。第十軍の遅々とした組織的な戦闘が、長い目で見れば実際に人命を節約できるかどうか疑問に思う。それは、単に死傷者をより長期間にわたってバラまいているにすぎない。わが艦船に対する日本軍の航空攻撃が続く以上、作戦期間が長くなれば、艦船の被害は大きく増加する。しかしながら第十軍が艦船や乗務員の損害について少しでも神経過敏になっているとは思わない」

終わってみれば、最も米国にトラウマをあたえた沖縄戦、その成功した作戦が現場・本部から嫌忌されていた。八原博通は軍・本部の方針を、決定以後も批判し、計画にも織り込ませたりして、自身の信じるものを、上司を尊敬しながらも貫いた。それは実に非常に難しいもので、普通に言えば参謀として失格でもあるし、指揮・士気に関わることになる、沖縄戦において八原博通は非常に正しいと後世からもちろんみられるわけではあるし実際上司は認めてるというかすぐに身に沁みる。とはいえ例えばあらゆる業種・現場において現在においても方針が決っているにも関わらず非常に困った頑固の方は多い。 また一例ではベトナムにおいてはテト攻勢の時は米軍に散々ぐーのねもでないほどやられたけどテレビが助けてくれた、偶然・奇跡だけどもそういうこともある。 それにしても合理的に導き出したものでさえ貫くのは難しい。

るろうに剣心49話 斎藤の技で壁に磔られる宇水「うわ・・なんだ・・今のは・・牙突・・か?・・」 斎藤「牙突にはいくつかの型分けがある、通常の一式、斜め上から突き下ろす弐式、対空迎撃用の参式、そして今のが奥の手、間合いの無い密着状態から上半身のバネのみでくりだす零式、いずれ抜刀斎と決着をつけるときの取っておきだ、光栄だろう」 宇水「くそ・・・志々雄ならいざ知らず、こんな筈では・・・」 斎藤「惨めだな、闘わずして志々雄に負けた時、お前は剣を捨てるべきだった、己の信念を貫けなかった男が死んでも生きていても惨めなもの」 宇水「貴様という男は・・どこまでも容赦しない奴だな・・」 斎藤「慰めの言葉でもかけてもらいたかったのか」 宇水「馬鹿言え、いっぺんのよどみもなく己が道を貫く、簡単なようで、なんと難しいことよ・・・お前はこれから近代化する明治でどこまで刀に生き、悪・即・斬を、貫ける・・かな・・・」息を引取る宇水 斎藤「無論、死ぬまで」