兵器の拡散防止と輸出管理―制度と実践 

兵器の拡散防止と輸出管理―制度と実践 浅田正彦(編集) 有信堂高文社(2004/07)
目次

推薦のことば
はしがき
略語一覧表

序章 輸出管理の役割と課題
第1節 大量破壊兵器の拡散と安全保障問題
1 拡大する大量破壊兵器の脅威  2 大量破壊兵器拡散の背景
第2節 拡散防止策における輸出管理の位置づけ
1 兵器の拡散防止のための方策  2 輸出管理の位置づけ
第3節 輸出管理の効果について
1 輸出管理が効果を発揮するための条件  2 輸出管理の効用
第4節 輸出管理体制の課題
1 ココムから不拡散型体制へ  2 浮上する新たな課題

第Ⅰ部 国際輸出管理レジー

第1章 核兵器関連の輸出管理レジー
はじめに
第1節 制度発足の背景と経緯
1 背景  2 主な経緯 (1)NSGガイドライン・パート1の成立 (2)NSGガイドライン・パート2の成立
第2節 制度概要
1 ガイドライン (1)構成 (2)主な内容 (a)NSGガイドライン・パート1 (b)NSGガイドライン・パート2 (3)実施と意義  2主な活動 (1)会合 (2)議長等 (3)情報共有 (4)アウトリーチ (5)透明性向上  3 制度への参加  4 ザンガー委員会との比較 (1)ザンガー委員会の概要 (2)主な比較
第3節 制度発足後の変遷と発展
1 主な変遷  2 最近の話題と今後の課題 (1)共通理解の醸成 (2)核テロ対策 (3)北朝鮮核兵器開発問題 (4)大量破壊兵器拡散防止に関するブッシュ米大統領提案とNSG
おわりに

第2章 生物・化学兵器関連の輸出管理レジー
第1節 生物・化学兵器とその規制の歴史
1 生物・化学兵器とは何か  2 生物・化学兵器の規制の歴史
第2節 オーストラリア・グループ
1 オーストラリア・グループの結成  2 オーストラリア・グループにおける輸出管理 (1)リスト規制とキャッチ・オール規制 (a)化学兵器関連リストと生物兵器関連リスト (b)リスト規制からキャッチ・オール規制へ (2)情報交換とノー・アンダーカット (3)ガイドラインの作成 (a)ガイドライン本体 (b)追加的規定
第3節 化学兵器禁止条約
1 化学兵器禁止条約の成立  2 化学兵器禁止条約における輸出管理 (1)輸出管理制度導入の背景 (2)化学兵器禁止条約における輸出管理制度の概要 (a)表剤の輸出管理 (b)若干の問題点
第4節 化学兵器禁止条約(CWC)とオーストラリア・グループ(AG)の関係
1 CWCとAGの関係をめぐる議論 (1)CWC起草時におけるAGの位置づけ (2)CWCにおける取り扱い  2 CWCとAGの相違点
第5節 輸出管理の限界

第3章 ミサイル関連の輸出管理レジー
はじめに―軍事管理におけるミサイルの位置づけ
第1節 ミサイル技術管理レジーム(MTCR)
1 MTCRの発足と展開 2 MTCRの内容 (1)カテゴリーⅠ (2)カテゴリーⅡ (3)特別な規制 (a)大量破壊兵器の運搬のための使用が意図されている場合 (b)大量破壊兵器運搬システムに寄与しうる場合 (4)考慮要素 (5)キャッチ・オール規制 (6)小括  3 ガイドラインおよびレジームの性格  4 宇宙開発との関係
第2節 弾道ミサイルの拡散に立ち向かうための国際行動規範(ICOC)
1 ICOC採択の経緯  2 ICOCの内容 (1)原則 (2)一般的措置 (3)透明性措置 (4)組織的側面  3 ICOCの評価
第3節 拡散に対する安全保障構想(PSI)
1 PSI発足の経緯  2 PSIの内容と評価
おわりに

第4章 通常兵器関連の輸出管理レジー
第1節 冷戦期の国際的輸出管理レジーム―ココム、チンコム体制の内実
第2節 ワッセナー・アレンジメント(WA)成立の背景
1 冷戦終結後の過渡期現象  2 WAの設立とレジームの基本構造をめぐる参加国の思惑 3 WAの発足とその後の展開
第3節 機微な汎用技術の拡散防止レジーム強化に向けて
1 WAレジームの構造的脆弱性  2 レジーム強化に向けてのイニシアティブ (1)「抜け穴」封じへのステップ (2)WAレジーム強化への道と日本の役割

第Ⅱ部 主要国の輸出管理制度とその実態

第1章 日本
第1節 日本における安全保障輸出管理の基本的な考え方
第2節 安全保障輸出管理制度の変遷
1 ココム規制  2 不拡散型の国際輸出管理レジーム  3 ワッセナー・アレンジメント  4 キャッチ・オール規制
第3節 日本の安全保障輸出管理の体制
第4節 国内法制度の概要
1 リスト規制  2 武器輸出3原則  3 キャッチ・オール規制 (1)補完的輸出規制からキャッチ・オール規制の導入へ (2)キャッチ・オール規制のしくみ (3)客観要件とリスク情報の提供 (4)積極的なインフォーム
第5節 エンフォースメント
1 罰則と取り締まり  2 北朝鮮によるタイ経由の機微貨物調達に対する取り締まりの事例
第6節 輸出者における自主輸出管理
1 輸出管理社内規程  2 輸出者に対する普及啓蒙
第7節 今後の取り組み
1 アジア地域における安全保障輸出管理のネットワークの構築  2 情報の収集・分析・提供  3 責任ある自主の理の実施

第2章 アメリ
はじめに―不拡散問題と輸出管理
第1節 米国の輸出管理の発展―輸出管理の多様なアプローチの歴史的背景
第2節 米国の輸出管理の法的・行政的側面―武器輸出管理法を中心として
第3節 経済と安全保障の相克―輸出管理法を中心とした米国の輸出管理制度
第4節 制度改革の実態と新たな輸出管理政策の構築―不拡散輸出管理の将来
おわりに

第3章 欧州連合(EU)
はじめに
第1節 EU地域における輸出規制ガバナンスの構造と機能
1 EUの統一汎用品管理規則の制定と共通輸出管理政策の簡素化  2 EU統一汎用品輸出管理規則の目的と効果 (1)「無形移転」に関する新規制 (2)輸出許可制度の簡素化 (3)キャッチ・オールの範囲拡大
第2節 新制度下の内部矛盾
1 EUの汎用品輸出管理制度のはらむ問題  2 EU共通輸出管理体制と国益の相克―フランスとの関係を事例として
おわりに

第4章 ロシア
第1節 輸出管理に関連するロシアの基本的国家政策
1 高い潜在的輸出能力と輸出意欲  2 ロシア国家戦略に重要な位置を占める「軍事技術協力」
第2節 ロシアの国際輸出管理レジーム参加状況
1 原子力供給国グループ(NSG)  2 オーストラリア・グループ(AG)  3 ミサイル技術管理レジーム(MTCR)  4 ワッセナー・アレンジメント(WA)
第3節 ロシアの輸出管理に関する国内法制度
1 輸出管理に関わる「ロシア連邦憲法」および「刑法」の特質 (1)「ロシア連邦憲法」に定められた強力な大統領権限 (2)「ロシア連邦刑法」に定められた輸出管理に関連する条項  2 ロシア連邦の輸出管理システム形成の経緯 (1)大統領令にもとづく輸出管理システム (委員会の構成員) (委員会の任務) (2)ロシア輸出管理に関する法整備 (3)「輸出管理法」にもとづく輸出管理システム (輸出管理に関する事務処理要領) (輸出管理委員会の改編) (輸出管理に関する各省庁の役割)
第4節 ロシアの輸出管理の実施状況
1 ロシアの輸出管理実施状況に対する観察・評価  2 輸出管理の目的精神に対するロシアの認識度  3 輸出管理の実務能力に関するロシアの向上度 (1)輸出許可および法的基盤 (2)輸出管理レジーム参加状況 (3)責任官庁の実務 (4)規制リスト (5)キャッチ・オール条項 (6)処罰 (7)税関および国境軍 (8)教育訓練 (9)検証 (10)情報収集および配布  4 ロシアの輸出管理に関する総合評価

第5章 中国
はじめに―基本認識
第1節 中国の武器輸出の傾向
第2節 輸出管理体制と白書『中国の拡散防止政策と措置』
第3節 中国のWMD輸出管理と米中関係

第6章 北朝鮮
はじめに―「拡散国」としての北朝鮮
第1節 北朝鮮と不拡散体制
1 NPT/IAEA  2 CWC/BWC  3 MTCR  4 輸出管理
第2節 大量破壊兵器開発・拡散の状況
1 核兵器 (1)開発 (2)技術移転  2 化学・生物兵器 (1)化学兵器 (2)生物兵器  3 弾道ミサイル (1)開発 (2)拡散・技術移転
おわりに

資料
1.1 原子力資機材等の移転のためのガイドライン(NSGガイドライン・パート1)
1.2 原子力関連汎用設備、資材、ソフトウェアおよび関連技術の移転のためのガイドライン(NSGガイドライン・パート2)
2. 機微な化学品目または生物品目の移転に関するガイドライン(AGガイドライン)
3. ミサイル関連の機微な移転に関するガイドライン(MTCRガイドライン
4. 通常兵器ならびに汎用品および汎用技術の輸出管理に関するワッセナー・アレンジメント(WAガイドライン)

図 大量破壊兵器、ミサイルおよび通常兵器の不拡散体制

表 不拡散関連条約・輸出管理レジームの加盟国表 (NPT核兵器不拡散条約/BWC生物兵器禁止条約/CWC化学兵器禁止条約/NSG原子力供給国グループ/ZCザンガー委員会/AGオーストラリア・グループ/MTCRミサイル技術管理レジーム/ICOC弾道ミサイルの拡散に立ち向かうための国際行動規範/PSI拡散に対する安全保障構想/WAワッセナー・アレンジメント)

索引

2 EU統一汎用品輸出管理規則の目的と効果
(1)「無形移転」に関する新規制
旧規則にはなかった点として、情報・通信革命の進展という事態の急速な進行を受けて、技術・ソフトウェアのいわゆる「無形移転(intangible transfer)」についても新たな規制が定められたことに着目しなければならない。「無形移転」については、すでに原子力供給国グループ(NSG)で「有形移転」と並んで規制対象となっていたにもかかわらず、旧規則にもとづく汎用品リストでは技術移転規制は「有形形態をとるものに限る」と規定され、規制対象とはされていなかった。それを改め「無形移転をも含め」WMD関連レジームでの規制実態に歩調を合わせようとするものであるが、制度導入までの段階でとくに口頭説明による技術移転や個人の移動にともなう技術移転をどのように取り扱うかをめぐって人権保障との関連で議論が沸騰し、多国間レジームにおける調整とも絡んで複雑な一面を覗かせた。
新規則では、第1章第2条において汎用品は軍民両用目的に用いられる技術およびソフトウェアを含むもの(a項)、輸出の定義の中にはじめて電子的手段、FAXもしくは電話による発信(口頭移転)を含め、「無形移転」に関する規定が盛り込まれた(b項鄴)。この点については、電話による口頭移転をめぐって「無形技術の無形移転(人の記憶上の技術)」と並び議論が白熱した問題であり、最終的には「規制対象技術が書面に記載してあり、これを電話にて口頭で読み上げる場合、もしくは同様の効果を電話にてもたらす場合」と制限的に条文化することで決着をみた。しかし人の移動にともなう技術移転については、人権保障を理由に強硬に反対した国があったため、合意に達しなかったとされる。

『世界を震撼させた組織のもう一つの顔 METI』とかゆう題でハリウッド映画に脚本書いて売り込もう。「事件は会議室でおこってるんじゃない!現場でおこってるんだ!」「事件は会議室でおこっているのよ」とかこのいきずまる攻防、世界あらゆうる地点での活動、他国機関、国際機関との協力と確執、そして対象の見えなささ巧妙化、そしてラブロマンスと裏切り、でも裏切られながらもどこか通じてたり? 事件終了後のつかの間安堵と無力感、ベテラン先輩からの無言の励まし。いやこりゃ売れるわ、とくに見所がベテラン先輩が若手がピンチに落ちっいってある機関にたの頼みごとするときの世間話で「いや〜あの当時は買かぶられて良い思いさせてもらいましたよ〜」と公園のベンチで缶コーヒーをすすりあう二人!こりゃもう渋いね!!