国債のすべて―その実像と最新ALMによるリスクマネジメント 三菱東京UFJ銀行円貨資金証券部(著) きんざい(2012/9/15)


目次-------------------------------------------
序章 日本国債の課題と銀行ALM運営

1 国債の歴史と金融市場への貢献
資金調達手段としての国債利用
量的緩和政策としての国債買入れ

2 デフレ下で浮上しやすい財政・金融政策の一体的運営
米国の国債価格支持政策(Pegging Operation)
国債価格支持政策の廃止とアコードの成立
オペレーション・ツイストへの変更
英国における国債管理政策を重視した金融政策運営
ラドクリフ委員会報告と量的規制による流動性コントロール
総合的な国債管理政策に向けた日本版アコードの検討

3 日本のソブリンリスク
自国内で吸収される日本の財政リスク
世界最大の債権国だが、国内不均衡が懸念要因
日本国債の格下げリスク
対応可能な財政再建と経済成長戦略
経済の新陳代謝ソブリンリスクを軽減

4 米国の産業構造改革

5 日本の成長基盤強化に向けて
資金循環の構造変化
財政要因と預貸バランス
日銀の金融調整と預貸バランス

6 金融機関ALMにおける国債運用
銀行ALM運営の課題


第1章 日本国債の概要

1 日本国債発行の歴史
最初の日本国債発行は外貨建て
日本初の国内債発行
松方財政と日本銀行設立
整理公債条例公布により、近代的な公債制度へ
日露戦争勃発と外国公債の募集
国債法の制定
大正バブルから昭和金融恐慌
金解禁と世界恐慌
欧州金融危機と世界経済ブロック化
高橋蔵相とリフレーション政策
国際情勢の緊迫化と巨額の軍事予算
巨額の政府債務と日銀による国債引受け
日本銀行条例の改正とハイパーインフレーション

2 国債の種類
固定利付国債
変動利付国債
物価連動国債

3 国債市場特別参加者制度

4 国債の発行
発行方式
発行事務

5 国債管理政策
財政法の制定(戦後の財政均衡主義)
国債発行の再開
シンジケート団・資金運用部による国債引受けと日銀の国債無条件買入れ
国債の大量発行時代の到来
国債発行形式の多様化
金融機関による引受国債の売却制限緩和
銀行法改正と債権流通市場の拡大
国債の大量償還と借換債の発行
60年償還ルール
バブル経済による財政状況の一時的改善
平成不況と金融危機〜急激な財政赤字拡大と国債発行の累増
コスト・アット・リスク(CaR)
デュレーション・コントロール

6 国債の流通市場
取引所取引
店頭取引
国債取引の決済
国債の発行日前取引
債権先物取引
債権現先取引と債権貸借取引

7 国債の償還
国債整理基金特別会計
減債制度
金利スワップ取引
流動性供給入札
買入消却
市場との対話

8 国債の税制
個人(居住者)および内国法人
非居住者・外国法人
国債に関する非居住者等非課税制度の概要


第2章 日本財政と国債

1 わが国の予算制度について
予算とは
予算の種類
予算プロセス
歳入
歳出
特別会計
財政投融資
予算トピックス

2 わが国の財政状況と国債について
財政収支
プライマリー・バランス
国債発行額と国債残高
国のバランスシート
政府の財政健全化目標
経済財政の中長期試算
財政・国債トピックス

3 財政状況の国際比較
政府総債務残高
プライマリー・バランス
財政収支
国民負担率
社会保障負担の名目GDP比率
税収の名目GDP比率
一般政府総債務・家計金融純資産


第3章 海外の国債市場と欧州ソブリン危機

1 米国の国債
国債の種類と発行方式
国債の流通市場
公開市場操作
国債の償還・借換え

2 英国の国債
国債の種類と発行方式

3 ドイツの国債
国債の種類と発行方式

4 中国の国債
国債市場の歴史
国債の種類と発行方式
国債の流通市場

5 欧州ソブリン危機と金融問題
欧州ソブリン危機
重層化・複層化する構造問題
各国の銀行総資産(対GDP比率)
欧州ソブリン危機の日本国債への影響
マクロバランス

6 格付け
格付けの概要
格付けの役割
格付けの問題点


第4章 日本国債リスクと国債安定消化への課題
1 わが国のマネーフローの変化
1980年代前半までのマネーフロー
1980年代後半から1990年代初頭までのマネーフロー
1990年代のマネーフロー
2000年代のマネーフロー

2 資金循環からみた国債消化

3 国債の国内消化構造の先行き展望
国債発行額・残高の先行き展望
国債の国内消化を支える構造の先行き
国債の消化構造の先行き試算
中長期的な財政に対する信認維持に向けて

4 日本のソブリンリスク
主要先進国ソブリンリスク
ソブリンリスク顕現化のメカニズム
ソブリンリスクと国債格下げの影響
国債格下げの波及プロセス
財政の持続可能性
政府の予算制約と国債残高の関係
国債残高に関する動学上の考察
投資家行動と財政破綻

5 日本国債グローバル化
金融・資本市場の自由化、国際化
日本版金融ビックバン
金融・資本市場競争力強化プラン
日本国債グローバル化に向けた取組み
資金逃避目的の日本国債投資
日本国債担保のクロスボーダー資金取引


第5章 金融機関における国債運用

1 国債の投資利回り
国債の投資利回りについて
国債利回りの変動要因

2 国債投資のリスク
利回りと債券価格の関係
ボラティリティ
デュレーション
コンベクシティ

3 イールド・カーブと銘柄間スプレッド
イールド・カーブの形状と変化
イールド・カーブの決定要因
景気・物価・金融政策とイールド・カーブ変化
銘柄間スプレッド

4 国債ポートフォリオ運用
債券ポートフォリオ運用のサイクル
債券ポートフォリオ運用の実践

5 国債ポートフォリオ運用の応用
銘柄選択
債券先物を利用したヘッジ戦略
オプションを利用したヘッジ戦略

6 資金調達手段としての国債利用
日本銀行適格担保
現金担保付債券貸借取引(債券レポ取引)


第6章 銀行ALMにおける国債投資とリスク管理

1 銀行ALM業務の変遷
昭和40年代〜国債発行再開期
昭和50年代〜オイルショック以降の大量発行時代
昭和60年代〜国債ディーリング業務開始による市場の活性化
1990年代〜バブル崩壊以降の国債保有残高増加
平成12年以降〜時価会計導入から"VaRショック"へ
"VaRショック"以降〜預超幅拡大を受け、ALM運営は「部分最適」から「全体最適」へ

2 銀行におけるALM運営体制
銀行のALM運営とは
ALM運営プロセス

3 邦銀ALMの課題
バーゼルⅡ第2の柱「金融機関の自己管理と監督上の検証」
全国銀行決算からみる邦銀ALMの課題
邦銀バランスシートの構造変化

4 国債投資のリスク評価
銀行ALMにおける金利リスク管理・収益性評価
国債市場全体のリスク

5 ALM高度化への取組み
NII(Net Interest Income)・EaR(Earning at Risk)分析
バランスシートの将来予測
金利シナリオ
株式と国債の一体投資運営

6 銀行ALMにおける国債ポートフォリオ最適化
銀行ALMにおけるリスク・リターン最適化
最適化事例
エンハンスト戦略

7 銀行ALMを取り巻く環境
国債財務報告基準(略称:IFRS)の導入
国際金融規制の影響


索引

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こうした資金循環や金融環境の変化から、銀行のALM運営における課題は、低利かつ安定的な資金調達から効率的な資金運用へ変化した。多くの銀行では、預超部分に対応する資金運用の大半を国債に投資しているのが実情である。その理由は、国債が信用度・流動性ともに高く、預超部分の見合い運用として適していることや、国債以外に国内銀行の預超額を吸収しうる代替的手段が存在していないことが大きい。
 銀行ALMにおいて国債投資は余資運用という位置づけであったが、貸出・ローン残高の減少および変動金利化によって、資産サイドの金利リスク量が低減しており、バランスシート全体の金利リスクコントロールの手段として、国債投資を活用する動きが広がっている。

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