産廃ビジネスの経営学 石渡正佳 筑摩書房(2005/10/4)


目次--------------------------------------------
序章 アウトローはなくせる
ブラックボックス     不法投棄の相場観     需給ギャップをだれが埋めているのか     中国経済が救世主になった     アウトローは必要悪でわない


第1章 軽油密造シンジケート
1 不正軽油製造と硫酸ピッチの不法投棄
硫酸ピッチの不法投棄     不正軽油製造施設

2 不正軽油の構造的背景
軽油引取税の問題点     行政の盲点     なぜ抜本的対策を避けるのか


第2章 アウトローは二重性につけこむ
1 アウトローと二重性
二重性への志向     二重性の美学     アウトロー学の3つの分野

2 アウトローの社会的役割
アウトローの警告機能     アウトローの補完機能

3 アウトローの組織
差別の組織化     永続性のパラドクス    右翼と左翼

第3章 不法投棄ゴールドラッシュ
1 発覚が相次ぐ大規模不法投棄
手口のデパート―青森・岩手県境    金融業者の乗っ取り―岐阜県    最終処分場の無許可拡張―四日市市ほか

2 法律をかいくぐる影の黒幕
自社処分場ブローカー―銚子市    偽装組合と偽装リサイクル―市原市


第4章 警察と行政の問題構造
1 警察の弱点
結果主義の裏側    封じ込めの限界

2 行政の弱点
プロセス主義という言い訳    行政にできること

3 三権分立と三つの窓口論
市民の窓口としての三権    中途半端な窓口    パートナーシップと市民運動

第5章 情報がアウトローを封じ込める
1 情報公開の効果
アウトローは情報ビジネスである    警察情報を公開せよ     ジャーナリズムとアウトロー

2 自律的コンプライアンス
コンプライアンスの欠如が起こす問題    行政指導からの自律    アウトローからの自主防衛

3 戦略的CSR
企業情報のヤミ    オモテとウラのバランスそとしてのCSR    環境戦略と環境報告書

第6章 アウトローが使う経済学
1 経済的アウトローの構造
アウトロー経済学と市場の失敗    日本経済のオモテとウラ

2 不法投棄の経済構造
不法投棄の変遷    ぼろ儲けだった横流し中間処理施設    不法投棄の市場規模


第7章 ベンチャーによるアウトローの超克
1 価格差を戦略化するアウトロー
価格差の戦略化と構造化     国際経済とアウトロー

2 必要悪論の打破
アウトローは必要悪なのか?    良貨が悪貨を駆逐する    二重価格の脱構築

第8章 環境アウトローに業界再編を仕掛ける
1 かわりゆく産廃業界
進む大企業の取組み    100億円企業に仲間入りする産廃業者    疑似社会主義リサイクルの陰謀

2 二つの新機軸
経済産業省の「廃棄物・リサイクルガバナンス」     環境省の「産業廃棄物処理業優良化推進事業」

3 産廃業界再編のスキーム
・M&Aよる業界再編
買収
乗っ取り
合併
株式公開買付
子会社
水平型共同出資
垂直型共同出資
外国人と外資


・ ネットワークによる業界再編
相互連結型ネットワーク
円環型ネットワーク
ユニット型ネットワーク
逆方向型ネットワーク
商社型ネットワーク(ハブ型ネットワーク)
ITハブ型ネットワーク
トレーサビリティネットワーク

おわりに

                                                                                      • -

 ベンチャーは2重価格に注目する点では、アウトローと同じだが、ベンチャーの参入によって、2重価格は解消に向かう。ベンチャーアウトローはとは違って、市場の自由化を求める。規制緩和は、アウトローにとっては毒薬だが、ベンチャーにとっては強壮薬である。アウトローベンチャーが似て非なるものであるのは、市場に与える影響が逆だからである。市場の2重価格を解消しないベンチャーは、実はベンチャーではなく、アウトローであると言わなければならない。

名著、僕のばいぶ、バイブルです。