韓国窃盗ビジネスを追え: 狙われる日本の「国宝」

韓国窃盗ビジネスを追え: 狙われる日本の「国宝」 菅野朋子 新潮社(2012/10/18)
目次----------------------------------------------------------------
プロローグ


第1章 重文窃盗ビジネス
犯人の息子との面会
息子の告白
姿を消した父親


第2章 消えた壱岐の経典
重要文化財、盗まれる
盗まれた経典が韓国の国宝に!?
一度は拝みたい作品
決め手となる折り目
盗まれた経典の運命
韓国古美術界の重鎮
莫大な成功報酬
狙われた日本の寺
真犯人への手がかり


第3章 阿弥陀三尊像を巡る日韓の攻防
鶴林寺を襲った激震
犯人の一味からの電話
東京での大捕物
重文窃盗盗品売買システム
大泥棒の素性
仏画はどこに!?
仏画が「消えた」寺
斡旋者と住職の攻防
泣き寝入りの被害寺院


第4章 古美術業界の裏世界
高麗仏画、再び狙われる
裏切られた期待
「盗掘王」への接触
重文=国宝か
重要人物、大田ブルース


第5章 犯人の独白
突き止めた居場所
大胆な手口
つながる点と線
日本の重文を盗む理由
“大きな手”の正体
遠のく真相


エピローグ

                                                                                                                            • -

 注文式というのは、「盗掘王」の李泰圭氏も言っていた話だ。
 話が次第に脱線していった。それにしても、声がやけに大きい。話題をかえようと、声が大きいですね、というと、
ベトナム戦争では、耳をつんざくほど銃を撃ちまくって大砲も撃った。帰国しても工場にいたから、常に騒音の中にいた。それで、こんなに声が大きくなった。 ベトナムには、給料がでるっていうから志願したんだ。家が貧しかったから。18で給料がもらえる海兵隊に入ったんですよ」
 国鎮も海兵隊出身なのか―。盗掘王の李氏も海兵隊出身だと言っていたことを思い出した。何か通じるものでもあるのだろうか。
 韓国では兵役が義務づけられているが、海兵隊は志願制で、北朝鮮との国境警備など任務も過酷だ。しかも、有事の際は真っ先に戦場に投入される。しかし、それだけ除隊後の待遇がよくなることもあり、韓国でいうバック(コネや学歴などのスペック)がない若者が就職に有利な条件を得ようと自ら志願することも多い。総じてタフなイメージがあり、男気をよしとする傾向が強い。