子どもが性被害をうけたとき―お母さんと、支援者のための本

子どもが性被害をうけたとき―お母さんと、支援者のための本 キャロライン M バイヤリー(著)宮地尚子(監訳)菊池美名子(翻訳)湯川やよい(翻訳) 明石書店(2010/9/28)
目次----------------------------------------------------------------
日本の読者のみなさんへ

監訳者からの注意書き

はじめに

第1章 子どもへの性的虐待に関する情報
子どもへの性的虐待の定義
社会問題としての性的虐待
増える事件報道     訴追や処遇の促進
子どもの虐待に関する統計資料
加害者の人間像
なぜ子どもを性的虐待するのか     女性加害者について     加害者の正当化メカニズム
虐待が被害者に与える影響
虐待の社会的文脈


第2章 事実の発覚
母親の反応
ストーリー1     ストーリー2     ストーリー3
感情面での反応は多様である
麻痺した感じ     怒り     憎しみ     否認や矮小化     自分が誰からも見えない価値のない存在に思える     罪悪感と自責の念     恥の感情     傷つきと裏切られた気持ち     嫉妬     拒絶された気持ち     加害者をかばいたい     加害者に対する拒絶感    混乱や自己懐疑
現実的な問題
事実の発覚に向き合い対処する
事実発覚後のはじめの数歩
子どもの言うことを信じる     子どもとよく話し合う     虐待を知ったら警察あるいは児童保護局に通報する     逆境を耐えぬく     加害者に立ち向かうことを考える     自分を信じる     考えてくれる人を探す


第3章 自分自身へのいたわり
虐待の発覚のあとに
話し相手     母親の過去の性被害     事実を知る     自分だけではない     加害者から離れる     人間らしく扱われる     コントロールを取り戻す     システムを知る     DVと近親姦の関係     選択への支援     子どもやきょうだいのトラウマ     親権     子どもの安全のための措置
記憶と向き合うということ
加害者との関係
加害者との親しさや近しさ     加害者への情緒的な愛着     加害者との関係の継続
もしあなたがバタード・ウーマン(痛めつけられる女性)なら
精神的虐待     身体的虐待     性的虐待
男の子への虐待
母親のあなたがレズビアンである場合
自分自身をいたわるためのプラン
記録しておくこと


第4章 法的問題
法をつくるところ     覚えておきたい事がら     民事法のケース
虐待の通報
通報者     なぜ通報者は重要なのか     母親は通報をしたがらないことがある     警察・検察などに責任ある行動をとらせる
ある母親の成功事例
犯罪の定義
刑事手続きどうかかわるか
児童保護局
職員の責任と訓練     子どもを家から離す     児童保護局の需要増加とそのストレス
家庭裁判所
司法手続における親の権利
情報を得る権利     支援を得る権利     秘密を保持する権利     里親に預けられている子どもに会う権利
加害者に対しておこす民事裁判
弁護士の役目      損害賠償請求をする     民事訴訟におえけるバックラッシュ
連邦法・州法における最近の進展
ストーカー防止法     地域への通知に関する法律
子どもの性的虐待をめぐる典型的な司法手続の流れ
警察に対する通告     子どもの安全の確保     警察による捜査の実施     容疑者の取調べと逮捕     検察による起訴     容疑者による罪状認否     公判前手続     監護者決定手続における事実認定     刑事裁判


第5章 文化と階級
文化と階級とは何か
文化     階級
文化的バックグラウンドが役立つときと伝統を改革するとき
文化的バックグラウンドの負の側面
ないことにされる虐待問題     関連機関への不信感     人種差別は想像の産物ではなく、現実のもの     文化やコミュニティへのスティグマ     恥を避ける
虐待を乗り越えることと文化・階級
社会経済的にみた母親たちの経験
経済力のもたらす違い     経済力のない場合     当然の権利を活用する
さいごに


第6章 宗教の問題
罰と苦しみ
相手を赦すこと
別居と離婚について
教会やシナゴーグから支援を受ける
ユダヤ教の儀式をどう考えるか
怒りについて
聖職者による虐待
教会やシナゴーグの責任


第7章 トラウマからの回復
様々な問題を話し合う
子どもからの非難と怒り     母子のあいだの疎遠     思春期の被害者の行動と加害者への忠誠心     うつ―わかりやすいうつと隠れたうつ     母親本人がうけた被害    子育て
カウンセラーを選ぶ
母親の回復事例
事例1     事例2     事例3     事例4


第8章 親としてできること
よくある質問
近親姦のあった家庭の母親たちに特有の質問
さいごに


法的観点からみた日本における性的虐待の対応
児童虐待は親からの虐待に限定
通報義務者はいない
児童虐待児童相談所が主に扱う
親権の制限は難しい
加害者に対する制裁が不十分
犯罪被害者としてどう保護されるのか
捜査段階での被害者への支援    加害者とされる人が20歳未満の場合     被害者参加人としての権利     犯罪被害者としての権利     証人としての保護
どのような支援が望まれるのか


監訳者解説
翻訳のいきさつ
日本に欠如しているサービス
日本での進展
この本の特徴と母親のニーズ


参考資料


日本語で読めるお勧め文献リスト

                                                                                                                              • -

 以下のような様々な理由から通報を避けたがる母親もいます。もし、加害者が見知らぬ人物の場合、通報しようとしても、母親にはそれを裏づける十分な証拠がつかめていないかもしれません。また、加害者が家族でない場合には、母親は、通報しなくてもわが子をさらなる虐待からは守れると考えるかもしれません。
 加害者が家族の中にいる場合、母親は家庭の安定が壊れることを恐れます。加害者が一家の生計を支えている時には特にそうです。「権威ある」人物や権力を持つ人とうまく対峙する自信がない女性もいて、彼女たちは、警察や関連諸機関の職員をこうした権力者として見ています。また通報によって子どもが自分から引き離され、里子に出されるのではないかと恐れる人もいます。あるいは、母親自身も(いわゆる「もの言わぬ共犯者」として)虐待に関わっていたと責められるのではないかと心配する場合もあります。虐待がおきているのではないかと疑いながらも早い段階では何もできなかった女性の場合は、すでに罪や恥の気持ちを抱えていて、関係機関から質問を受けることでこれ以上の辱めは受けたくないと思ったりします。これまで一般に女性は、女性であるというだけで、社会的地位の高い男性からは特に、信頼に欠ける存在として扱われてきました。そのうえ、もし女性が非白人や少数民族であったなら、「司法システム」は白人に示すような敬意や公正さを自分たちには示さないのではなかという心配もあるでしょう。こうしたシステムの不公正を不安がる気持ちは、加害者男性が非白人である場合にもおこります。つまり、人種・民族上のマイノリティに属する女性が、司法システムは白人よりもマイノリティの犯罪者に対し、より厳しい対応をすると考えてる場合、彼女たちは、もし自分が事件を通報すればマイノリティである加害者男性も白人より不当に重い刑罰を科せられるのではないかと不安になるのです。

夏目友人帳 肆 第5話「過ぎし日の君に」
回想する夏目「それから何日かスネコは俺にくっついていたが、ある時ふっと離れてどこかに行ってしまった、また他の人間にくっついて他の町に移動したのだろう、いつかまたあの町にもどることもあるのだろうか、そうしたら伝えてほしい、おれがあの町で出会ったアヤカシや人に、おれは元気でやっていると・・・」
夏目はいつも良い最終回がみれるわ。