ソウルフルな経済学―格闘する最新経済学が1冊でわかる

ソウルフルな経済学―格闘する最新経済学が1冊でわかる ダイアン・コイル 室田泰弘(翻訳)矢野裕子(翻訳)伊藤恵子(翻訳) インターシフト (2008/12/5)
目次--------------------------------------------------------------------------------
はじめに―いまエコノミストは「幸福」研究の最先端にいる


第Ⅰ部へのプロローグ
Ⅰ 富と貧困の謎


第1章 歴史探偵
なにが経済を繁栄させ、また失敗させるのか     歴史理論と対決するデータ     西洋が経済発展をとげた転換点はいつか     離陸要因は植民地の収奪か、内在的プロセスの加速か     経済変数を検証する     近代的成長への推進力はなにか     最新の証拠     エコノミストは、情熱的なオタク?


第2章 なにが経済を成長させるのか
経済成長は、料理よりもダンスに似ている     古典派経済学―ルーツから非主流はまで     新古典派―限界収穫逓減とその問題     ポスト新古典派―内生的成長モデルとスピルオーバー     近代的成長理論―人的資本と知識における収穫逓増 ・規模―理論における「皺」 ・地理―場所ごとに異なる成長パフォーマンス ・歴史―転がる雪だるまを止める方が、雪だるまを転がすより簡単だ ・制度―成長は社会の集団的能力に依存する     バック・トゥ・ザ・フューチャー


第3章 いかにして貧困を過去のものとするか
薬効のない万能薬     データが明かす貧困問題の核心     開発経済学の功罪―援助は貧困を解決しない     貧困は起こるべくして起こるのか ・地理―気候などは、経済を運命づけるか ・歴史―腐敗、所有権原、制度的遺産     ビック・プッシュより、クレバー・プッシュを!     グローバリゼーションは良いことか     援助の呪い     開発経済学の新基軸


第Ⅱ部へのプロローグ
Ⅱ 個人は自由に選択できるか


第4章 経済学は幸せにどう役立つか
なにが人々を幸せにするか     GDPは正しい尺度なのか     「快楽のランニング・マシーン」と「選択の逆説」     幸せを目指す政策     「幸福」と「満足」の違い


第5章 人間のための経済学
「合理的な愚か者」を超えて     人々はよく考えることに慣れていない ・感応度逓減性、プロスペクト理論 ・どのようなバイアスが判断に影響を与えるか ・提示の仕方が、人々の選好を動かす     心理学をいかに経済政策に応用するか     実験顕在学―まったく新たな市場などを検証する     神経経済学―人に聞くな、脳に聞け     行動経済学―心理学と経済学の結婚の行方


第6章 情報と市場
情報経済学と市場の限界     応用経済学に欠かせない「非対称情報」     逆選択モラルハザード     シグナリング、スクリーニング     プリンシパル・エージェント問題     効率的市場仮説―情報市場は世論調査よりも優れている     排出権取引が広まる理由     情報市場の予測はなぜ当たるのか     予測市場の三つの形態     予測市場がうまくいく場合、いかない場合―グラウチョ・マルクスの教え     本命―大穴バイアス     意思決定のメカニズム


第Ⅲ部へのプロローグ
Ⅲ 自然、市場、社会


第7章 殺気立った猿と起業家
進化経済学のダイナミズム     ユニバーサル・ダーウィニズム     変異・選択・複製     企業と市場の共進化     ゲーム理論     弱いきずなの強み


第8章 経済と社会
偉大な田舎者が生んだ「公共選択アプローチ」     投票行動から、政治的景気循環まで     新制度派経済学―取引費用アプローチと良きガバナンス     ネットワーク・ツール     社会的規範―犯罪率は各国でなぜ異なるか     社会関係資本とはなにか ・「信頼」はプラスにもマイナスにも働く ・フォーカル・ポイント     ・文化と制度、どちらが重要か     「市場」対「政府」を超えて


第9章 なぜ経済学に魂があるのか
経済学は黄金時代を迎えているのだが     経済学が「自閉症」的か     エコノミスト批判に答える ・数式に頼りすぎ? ・科学的方法論で、人間の文化・社会がわかる? ・エコノミストって右派? ・エコノミストは傲慢?     なにが経済学を変えたのか ・コンピュータ能力の増強 ・データセットによる実証研究 ・計量経済学のテクニック向上 ・シュミレーションの利用 ・実験―繁栄する孤島 ・ゲーム理論あるいは経済学の帝国主義 ・非線形動態モデル     経済学は、この4半世紀で巨大な進歩をとげた    政策に取り入れられ、成功した実績


謝辞

原注

参照文献

解説

                                                                                                                                                              • -

文化という概念は、ある社会が、複数の可能な均衡があるとき、なぜ特定の一つに収まるのかの説明に役立てることができる。ゲーム理論では、トーマス・シェリングが、「フォーカル・ポイント」という概念を導入した(訳注:コミュニケーション手段がないときに、人々が取ると思われる、自然で適切と思われる解決策のこと)。これは、外部からのなにかだが、それによって他の方向ではなく、特定の方向に結果が導かれる(Schelling 1960)。文化はフォーカル・ポイントの役割を果たし、社会をそれぞれの歴史的経路に沿った動きに導く。経済がうまく働くかどうかに関して、文化がその主因を果たすという議論は、同じような制度がさまざまな経済社会的環境のもとでは、異なる振る舞いをするという観察結果にもとづいている。

本書の擬人化された「経済学」たんの思いを要約すると nitoro microphone underground 【nitoro microphone underground】より 「だって奴らいわく俺 新人さん はっ?」
まんが日本昔ばなしをだいたい解れば、真髄はわかったもどうぜん。