ウチのシステムはなぜ使えない SEとユーザの失敗学

ウチのシステムはなぜ使えない SEとユーザの失敗学 岡嶋裕史 光文社(2008/03)

目次

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まえがき

第1部 SEという人々

SEという生き物
技術屋=SEか?  開発系と運用系  運用系の暗黒面  待遇の違い  開発系か運用系かをチェック  SEと資格

開発系の人々
プログラマ  要求される能力  SE  プログラマの管理  アーティストか、大工さんか  勘違いを助長する求人広告  文系でも大丈夫な理由  35歳SE定年説  プロジェクトマネージャ  プロマネ、苦戦の理由  技術畑出身者ならOK?

開発技術者の周縁の人々
システムアナリスト  そもそも要求が固まっていない  上手な利用の仕方  営業さん  システム営業  建設業界との類似

運用系の人々
オペレータ  クリエイティブであってはならない  運用現場  オペレータなくしてシステムなし

第2部 SEと仕事をするということ

間違いだらけのIT企業選び
どこに依頼するかが最初の分岐点  メーカ系、ユーザ系、独立系

システム開発を依頼する
まずは営業さんと面談  要件定義  ディスカッション手法  顧客側が注意すべき二つの点  用語の統一  難易度の高い「問題の発見」  「隠れ要素」を常に意識  新技術がいいとは限らない  最低限の勉強は必要  「オブジェクト指向」の解説  見積もり方法の謎

SEへバトンタッチ
ウォータフォールモデル  プロトタイプモデル  スパイラルモデル  アジャイル開発

システム開発の工程を追う
外部設計、内部設計、詳細設計  コミュニケーションの必要性  システムの全体像のつかみ方  記憶装置がどこにあるのか  二つの思想  揺り戻しの歴史  リッチクライアント  折衷的な処理  EA  アダプタを使う  標準化  身の丈EA  開発  プログラミング言語  翻訳  検収  過酷な条件でのテストが重要  同値分割と限界値分析

第3部 ユーザとSEの胸のうち

あとがき

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IT業界の作業現場は建設業のそれと非常によく似ている。顧客の要求があり、それを業界知識と業界用語によって変換した設計図があり、設計図をもとにブツが作られる。ブツを作るために確立された方法論と使い回しのきくパーツがあり、多くの現場ではパーツを組み合わせることによってブツを完成させてしまうことさえ可能である。
ブツの生産工程に、親会社―下請け―孫請けのラインがあるところまで酷似しており「ITゼネコン」などの用語すらある。
先にも述べたように、これはプログラミングの一般的なイメージにはそぐわないかもしれないが、建築現場で造られる建築物と工房で作られる芸術品が本質的に全く異なるものであるように、一部の数学的陶酔感をもたらすプログラムとビジネス製品として出荷されるプログラムもまた本質的に異なる。ならば、建築業が脈々と構築してきた現場作業のノウハウを、IT業界にも活かそうとする努力の方向性はおそらく正しい。プロジェクトマネージャの台頭はいわば歴史の必然である。
ただし、ただしである。建設業においてこの種の職能者が現れ成果を上げたのは、血を吐くようなノウハウの集積プロセスを経験した後のことである。
IT業界は建設産業と比較すればお話にならないくらい若い業界であり、プロジェクトマネージャはその中に突如として出現したオーパーツである。その時代に本来登場すべきではない技術や人物がいきなり登場しても、真価を発揮することは極めて困難である。
小学校時代に「過去に行って人工衛星の話をしたら、神様だと思われるよ」と話してくれた先生がいるのだが、なんてオプティミストだろうと子供心に感心した。私には与太話を吹く狂人として扱われるようにしか思えなかったからである。
そもそも、例えば縄文時代に「ひまわり」を持ち込んでも、縄文人が気象情報を得られるものではない。
プロジェクトマネージャを取り巻く状況はこれに似ている。大学院でMOTを学んだ精鋭が颯爽とプログラミング現場に登場したとしても、彼(彼女)を受け入れる素地がまだできていないのである。
建設業では当たり前のネジのサイズの標準化だの、用語の統一だのがなされていない。場合によってはよっては契約書さえ交わさずに開発が開始されている現場で、「PMBOKだ!」「ISO10006だ!」と叫んでも、「先に物差しの長さを統一しておこうよ」という話になる。
そのためには、プロジェクトマネージャクラスの上級管理者でも各部署・各人員間の調整を行うために技術的知識を保持しなければならず、プロジェクトマネジメントスキルのみで業界に己を立身屹立させることが難しいのである。

WORKING!!放送時間ヤングガンガンCM【WORKING!!ファミレスミニ知識】 ぽぷら「ファミレスではゴキブリのことを太郎君とか、虫をあだ名で呼ぶんだって!」 佐藤さん「あっ、種島が出た」 ぽぷら「どうゆうこと!?わたし虫じゃないよっ!!」 も〜!っと怒る、ちっちゃくてかわいい種島先輩。
これから不具合も、「種島先輩」「ぽぷら先輩」「種島さん」「ぽぷらちゃん」「ぽぷらどん」とか「種島先輩対応サービスパック」「ぽぷらちゃんボーナスパック」とか名づければ、つんつんした雰囲気も、もしかしたら和やかに??