新生アルバニアの混乱と再生

新生アルバニアの混乱と再生 中津孝司 創成社(1997/11)
目次

プロローグ ―アルバニア社会の危機と再生―
A.総選挙と混乱 B.ねずみ講の破綻と暴動 C.大統領と非常事態宣言 D.危機の原因と課題 E.マクロ経済の現段階 F.本書の問題領域

Ⅰ アルバニア小史
1.アルバニアの建国 2.共産主義国家・アルバニア 3.新生アルバニアの誕生
Ⅱ アルバニア経済の負の遺産
1.問題の範囲 2.社会主義経済時代の遺産 3.負の遺産の検討 A.経済集権化の程度 B.構造的不適応性 C.マクロ経済の不均衡 4.経済変革の足枷 A.類別と同質性・異質性 B.政治的制約 C.社会的障害 5.新社会創造の条件
Ⅲ アルバニア経済体制転換の過程
1.問題の背景 2.変革プログラムの要綱 A.安定化プログラム B.価格と市場の変革 C.民有化、企業リストラ、民間部門の発展 D.政府の位置 3.外国人の役割 A.外国直接投資 B.金融援助 C.技術援助 D.市場アクセス 4.問題の総括
Ⅳ アルバニア経済の診断書
1.民主化後の経済実績 2.IMFによる経済概観 A.農業 B.工業 C.民有化 D.価格 E.賃金 F.雇用 G.公的部門 H.通貨・信用 I.対外経済 3.世界銀行の経済報告書 4.民主党による経済分析 A.通貨の交換性 B.民有化 C.対外債務のリスケジューリング D.外国直接投資と信用供与・援助、民間投資 E.国際協力 5.考察
Ⅴ 産業の振興と経済発展
1.コア産業と経済再建 2.農業の再生と経済効果 3.鉱業の回復と再建 A.石油・天然ガス B.クローム C.ニッケル D.銅 4.観光業の興隆と繁栄 5.中小企業と民間活力 6.民間ビジネスと経済復興
Ⅵ 経済再建と政府
1.経済復興における政府の役割 2.エネルギー 3.水道 4.通信 5.運輸 6.民営化 7.政府主導の意義
Ⅶ アルバニアと世界経済
1.開放政策への道程 2.アルバニアと移行経済国 3.外国貿易 4.外国直接投資 5.援助と信用供与 6.対外経済関係の発展
Ⅷ アルバニアの経済課題―議論の総括として―
1.問題の意図 2.命令型計画経済の負の遺産 3.経済体制転換の過程 4.成長のエンジン―貿易・観光立国化― 5.経済発展の可能性
エピローグ ―新生アルバニアと日本―
A.新生アルバニアとの遭遇 B.大統領との会見 C.アルバニアの多様性
あとがき

更には、アルバニア産業の効率性や旧式テクノロジーの水準が、旧社会主義国と比べてもなお低い。1981−89年期におけるアルバニアの資本生産性とブルガリアのそれとを比較すると、アルバニアの場合は約二分の一であった。旧チェコスロバキアの経済水準にキャッチ・アップし、生産性の低さを克服するには、物的純生産に対する投資の比率を毎年10%以上積み増していく必要があるという。農業の生産性についても同様に低い。
要するに、アルバニアの国際競争力は極端に弱いのである。従って、アルバニア企業の大半は倒産する運命にある。また、同国の伝統的産業をも破壊してしまうかもしれない。アルバニアが競争優位を成就できる基礎条件は、その地理的位置と天然資源にしかない。近隣諸国からの財の大量流入は、低品質のアルバニア製品を駆逐してしまうだろう。だが、一方で、資本の流入は加速化しよう。無防備な自由貿易は、アルバニア為替相場とインフレに悪い影響を及ばさずにはおかない。
最後に、アルバニアは数多くの社会問題に直面している。同国人口の60%以上は農村部に居住する。変革以降、これまでに土地の分配はほぼ終了したが、一人当たりの分配分が小さく、人口の都市部への流出が顕著となった。更に、法律がこの大移動を刺激する触媒となっている。加えて、人口増加率は欧州で最高で、1989年―90年期では1.9%だった。
こうした要因が複雑に絡み合って、失業率を押し上げた。公式統計によると、1993年の失業率は23.5%で、中・東欧諸国で最高である。また、50万人ほどが海外出稼ぎ労働者になっているという。この数字は現在でもなお変わっていない。過剰労働力を吸収する場を創出するのが、緊急の課題となっている。

新興民間部門への信用供与の対総国内信用供与シェアは、92年末の4%と比べて、93年末には11%に拡大した。しかしながら、経営管理企業会計、それに法的枠組が欠落していたために、民間部門の質的発展が阻まれた。それ故にアルバニア人出稼ぎ労働者による送金が、政府の対民間部門融資よりも役立ったと言えよう。

外国からの借款が厳禁となっていたアルバニアではあるが、最近では対外累積債務が経済問題として浮上してきた。それは、1989年の7400万ドルから、90年2億9400万ドルと増え、93年末には8億3400万ドルにまで積み増した。そのうち、6億2100万ドルは欧州の商業銀行に対する負債である。
地方、外貨準備金は枯渇し、93年には僅か輸入の2.3ヶ月分しかないという状態に陥った。然も、援助内容は、緊急援助から普通の金融援助に変わりつつある。そこで92年以降、IMFと先進24カ国が経常赤字を補助してきている。にもかかわらず、中期プログラムを成就するには、更なる金融援助が必要となろう。公式統計によると、92年以来、アルバニアは年間約3億ドルの金融援助を受け取っているという。この水準は、暫くの間は維持されねばならないだろう。

ここでは、アルバニア外国投資促進センター所長・セラミ・ジェパ(Selami Xhepa)氏の見解に傾聴しよう。
ジェパ氏は、アルバニア経済を観察するに際して、まず、市場制度と法制度とに場合分けをして制度的アプローチを試みる。前者には、銀行・税システム、社会保障ネットワーク、倒産を、後者には法律、裁判所とそのスタッフをそれぞれ適応させている。ところが、これらの課題を一度に処理するには無理がある、とジェパ氏は告白した。ここが現実の政策と経済体制転換との関連を考察する際に重要だ、と彼は指摘する。一方、IMFが強く要望する貿易と価格の自由化のみでも移行期を乗り切ることはできない、と言明した。貿易の自由化によって世界市場における競争に直面することとなり、国内の一部の企業が倒産し、整理されてしまう。これが所得の低下を誘発する。無論、購買力は低下する。実質賃金が下がってしまうと、次の改革へと進めない。ジェパ氏の危惧するとこはここにある。
そこで彼は、次の二つの問題点を提示する。第一に、アルバニア産業の中に比較優位部門はあるのか。第二に、経済メカニズムやマーケティングと経営に関する経験が、対外貿易面でサバイバルを保証するのか。
この二つの問題の解決策について、ジェパ氏は二つの選択肢を準備した。一つは、生産活動の停止、高い失業率、生活水準の低下を伴うスピードの速い転換。もう一つは、既存の産業構造を新しいそれに切り替えていく緩やかな転換。しかしながら、前者の方策は、社会的影響が大きく、現実的ではないとして、問題解決の選択肢から排除した。ジェパ氏は、IMFの経済政策を暗に批判したのである。つまり、彼の構想は、現在の中核産業である農業や食品産業を中心に、アルバニア経済の再生を図ろうとするものである。マクロ経済の均衡よりもむしろ、特定産業への資源の傾斜配分を経済成長の出発点とする視点である。
ジャパ氏の論理展開は更に続く。
経済の自由化とは、合理的な自由化であって、無制限の自由化を示すものではない。彼は、このように自由化を定義する。財政政策の目的は、生産拠点の発展に結び付くものでないといけない。この意味において、これは投資政策と密接に関連する。外国直接投資にしても、国内企業による投資にしても、投資を保護する政策が不可欠となる。一方、法的枠組の安定も必要だ。これらが企業活動を活性化していく。結果、政府の財政収入を増加させる。そして、マクロ経済が安定する。これに伴い、ミクロレベルの問題も解決されていく。ジェパ氏の主張する論点は、このように描かれている。
ジャパ氏の見解は正論である。加えて、現実的な視点に立脚している。彼自身、極めて英明な人物である。常に多忙を極めているけれども、様々な経済誌に寄稿して、自説を展開している。彼は来日経験があるらしく、観光業の発展についても、彼が視察したことのある沖縄のような大規模開発には賛成しない、と彼のオフィスで語っていたのが印象的であった。

バカとテストと召喚獣op Perfect-area complete!より 「願いましたよ月にも星にも 科学的にはどうにもならず 輝きました明日を夢見て 恋でがまんを学んだね むくむくと広がる雨雲 私を濡らす瞬間スコール 悩み事ほら流れたみたい 泣き言なんて忘れよう♪よしっ!」
今日もやられやく 2月10日の記事:『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』聖地巡礼するため海外まで行った人

おいおい、まじで行く人いたのかよ!!国内の聖地巡礼はもう珍しくもなんともないけど 海外まで行くとは流石にすごいわ ちょっくら俺も行ってくるか

僕も億万長者になったら聖地巡礼しよう。日本放送協会みたいな展開だな。