サハラが結ぶ南北交流

お目ものーと
サハラが結ぶ南北交流(世界史リブレット) 私市正年 山川出版社(2004/07)

近代以降のヨーロッパ社会に形成されるアフリカと「黒人」にたいする歪んだ認識の「ひとつの」ルーツは、こうしたアラブ人が伝えた情報であることはまちがいない。史料をたどっていくと、ギリシア古典の思想がイスラームに伝えられ、それがイスラームによって成長・発展し、ヨーロッパの啓蒙思想に取り込まれていったという経路が描かれる。根は深いのである。
私たちのアフリカと「黒人」にたいする認識がこの根と無関係とはいえまい。その意味でサハラの南北交流の歴史は現代への「問いかけ」でもある。