昆虫と気象 桐谷圭治 成山堂書店;改訂版(2002/08)


目次-------------------------------------------
はじめに
第1章 虫たちと気象
1・1 二つの顔をもつバッタ
サバクワタリバッタの移動と大発生
アフリカでの大発生
バッタとイナゴ
バッタの相変異―群生相と孤独相
群生相の始まりと終息
研究日誌1 生物的防除
エルニーニョトノサマバッタの大発生


1・2 日本に定着できない密航者―トビイロウンカとセジロウンカ
ウンカの大発生と気象条件
ウンカ海を渡る
ウンカの坪
日本に定着できないウンカ
研究日誌③標識ウンカの捕獲
エルニーニョとウンカ
⑤ウンカの本当の発生源はどこか?


1・3 病害虫発生予察事業と気象要因
相関法
メイチュウの生息密度に基づいた予察
研究日誌⑥害虫でなくったメイチュウ類


1・4 害虫化したミナミアオカメムシ―気候と気象
ニューフェイス登場
ミナミアオカメムシに駆逐されたアオクサカメムシ
種間交尾の結末
2種が共存する機構
アオクサカメムシの単生地帯の成立
生命表から気象の影響を見る
台風の影響
越冬場所の死亡率
研究日誌⑦台風のチョウへの影響
フェーン現象とイネの害虫


1・5 ハスモンヨトウとコサラグモ
施設で増えたハスモンヨトウ
舞台回しはコサラグモ
クモから解放されたハスモンヨトウ
研究日誌⑨猛暑、日照りはヨトウムシの異常発生をもたらす
⑩空梅雨は斑点米を増やす


1・6 雪と昆虫
雪が多いとツマグロヨコバイは少ない
雪をめぐるマイマイガとトリの知恵比べ


1・7 上昇気流とと空中プランクトン
ユスリカの蚊柱
竜巻のような蚊柱
レーダーにうつる空中プランクトン
エコーをどう読むか
研究日誌⑪慶雲


1・8 ブナアオシャチホコの大発生と気象
ブナアオシャチホコの生態
大発生の特性―同調性は気候要因が起こす
周期的な密度の変動は何で起こるのか
なぜ特定の標高帯に大発生するのか
第4の仮説


1・9 アメリカシロヒトリの季節適応
日本への侵入と分布拡大
光温図表で読む生活史の変化
”ヤマトシロヒトリ”の出現


第2章 虫たちと温度
2・1 体温調節


2・2 各種の限界温度の防除や分布予測への利用
ハウスの蒸し込み
米の低温貯蔵
ミバエ類は日本本土に定着できるか
研究日誌⑫携帯品で持ち込まれるミバエ類
⑬低温選抜したウリミバエの低温耐性


2・3 積算温度法則
積算温度法則とは
コナガの発育ゼロ点(T0)
と有効積算温度(K)
分類群によるT0とKの地理的変異
発育段階とT0


2・4 ヒートアイランド
マイクロヒートアイランド
タイリクヒメハナカメムシヒートアイランド


第3章 地球温暖化と昆虫
3・1 地球温暖化の兆し


3・2 温暖化は速いスピードで進んでる


3・3 昆虫の北上の証拠


3・4 異常高温年における昆虫の反応


3・5 気候の変動が害虫に及ぼすさまざまな影響
植物の質の変化と昆虫
昆虫と寄生植物の同時性
年間世代数の増加
水田の昆虫群集への影響
警戒すべきウンカの動き


3・6 地球温暖化が種間関係に及ぼす影響
種間競争への影響
植食者―天敵の関係への影響


3・7 昆虫媒介病
作物とウイルス病
ヒトと昆虫媒介疾病


3・8 おわりに


あとがき
参考文献
関係団体ホームページ一覧
和名・学名一覧
索引

                                                                                    • -

 サンカメイチュウに入れ替わって増加しているのがニカメイチュウである。この原因は、戦後の窒素肥料の解禁による施肥量の年々の増加、作期の乱れにようる稲の栽培期間の延長などが考えられるが、殺虫剤による卵寄生蜂の激減による寄生率の低下、また西日本ではサンカメイチュウとの競争圧の低下などもその増加に貢献していると思われる。しかし1960年頃から漸減の兆候が現れ、1970年頃から急速に減少しだしている。その原因は必ずしも明らかでないが、稚苗の機械移植にともなう育苗箱への農薬施用や、移植苗が成苗でなく稚苗になったことがニカメイガ幼虫の生存率を低めたためと考えられる。このほかにも品種の変化(穂重型より穂数型に変化し、茎の太さが細くなったため幼虫の成育に不利)、収穫の早期化(幼虫が越冬前に十分餌を食べられない)、珪カルの施用量の増加(イネ茎の珪酸含量が高くなると幼虫の咀嚼顎が磨滅する)、収穫の機械化や施設栽培へのイネ藁使用によって、藁内部に潜む越冬幼虫の死亡率が高まったことなどが総合的に作用したと考えられる。いずれにしろ、メイチュウ類の長期的減少傾向は気象要因の変化では説明できるものではなかった。

人の居住環境に住むヒトスジシマカは17種以上のウイルス病を媒介するが、アジアで毎年50〜60万人が感染するデング熱もその一つである。日本は世界1の古タイヤの輸出国である。野積みで濡れた古タイヤに産卵されたヒトスジシマカ卵が古タイヤとともに世界各地に運ばれ分布を拡大している。日本産のヒトスジシマカは卵休眠で耐寒性も強いので媒介蚊の分布のみならず、温暖化によりデング熱が広がることが心配されている。

艦これ5話 金剛さん「なんとかなるねー!暑さ寒さも彼岸までねぇー!」 吹雪「意味分かんないです」
大自然を前にすると如何にきんモザ、リアルタイムで見れなかったというこの世の不幸が、少しちっぽけに思えてきました。