タイ2011年大洪水―その記録と教訓(情勢分析レポート) 玉田芳史(編集)船津鶴代(編集)星川圭介(編集) アジア経済研究所(2013/10)


目次--------------------------------------------
本書で使用する略語・組織名称・地図について


序章 タイ2011年大洪水
はじめに
第1節 なぜ2011年大洪水なのか


第2節 本書の構成


第3節 油断と怠慢―被害が発生した一因


第1章 タイ2011年大洪水の実態

はじめに
第1節 チャオプラヤー川流域の概要
第2節 2011年大洪水の実態―気象および水位状況から考える
第3節 タイの水インフラストラクチャーと洪水管理
1 タイのダムと洪水管理の思想
2 チャオプラヤー下流域での氾濫原管理
(1)下流域の氾濫原管理
(2)下流域に位置する都市部での洪水対策
(3)バンコク首都圏における洪水管理と水防活動
第4節 日本の科学技術に基づくタイ、そして世界の水問題解決への研究支援
補論 チャオプラヤー川流域洪水予測システム


第2章 タイ2011年大洪水時のプーミポン・ダム操作

はじめに
第1節 プーミポン・ダムと2011年大洪水
第2節 操作規程改定と2012年ダム操作
第3節 チャオプラヤー・デルタ開発と水をめぐる利害
おわりに


第3章 タイ2011年大洪水の産業・企業への影響とその対応

はじめに
第1節 タイ中部大洪水がもたらした産業への影響
第2節 復旧に向けた取り組みと企業の移転・撤退
第3節 復旧とサプライチェーン維持に向けた政府の取り組み
第4節 洪水再発に向けた政府と企業の取り組み
おわりに


第4章 バンコク二空港とタイ2011年大洪水

はじめに
第1節 ドーンムアン空港
第2節 スワンナプーム空港
おわりに


第5章 洪水をめぐる対立と政治

はじめに
第1節 洪水発生理由をめぐる対立
第2節 洪水対応をめぐる対立
第3節 被災者支援をめぐる対立
第4節 洪水対策と限界


第6章 タイ2011年大洪水と水資源管理組織―統合的指令系統の構築をめざして

はじめに
第1節 2011年以前の水資源管理組織―分節化された水資源管理行政
第2節 錯そうした洪水予測と避難警告―混乱から対立へ
第3節 新たな水資源管理組織の模索
おわりに―要約と課題


第7章 タイ2011年大洪水後の短期治水対策

はじめに
第1節 事態の推移
第2節 治水の原則
第3節 即時・短期対策の枠組み
第4節 即時・短期対策の進捗状況
第5節 短期治水対策の有効性
第6節 残された課題
おわりに


巻末資料


執筆者紹介

                                                                                      • -

2011年についていえば、プーミポン・ダムへの総流入量は同ダムの貯水能力を下回っていた。雨季が始まる前に、ダムを空にしていれば、流入する水をいっさい放流することなく貯め込む能力があった。だが、ダムの主目的は治水ではなく灌漑である。年間を通じて満々と水をたたえるチャオプラヤー川を眺めていると、流域は多雨の水過剰地域と思われるかもしれない。しかし、実は稲作にとっては水が不足しがちである。こうした自然環境であるがゆえに、農業用水の供給が不可欠となってきたのであり、ダムの操作に細心の注意が払われてきた。「2011年の操作は過去の操作の原則を逸脱するものではなく、むしろかなり原則的な操作が行われていたといえる。」両ダムは、チャオプラヤー川流域の水量の3割が経由するにとどまっており、洪水を完璧に阻止しうるわけではない。

月刊少女野崎くん6話 夢野先生が体調を崩し寝込んだものの、みんなの協力で締め切り前に作品が完成される。