戦場の掟 スティーヴ・ファイナル(著)伏見威蕃(翻訳)  講談社(2009/9/25)


目次--------------------------------------------
プロローグ 国境にて


1 社会勉強株式会社
米陸軍第505パラシュート歩兵連隊軍曹
束縛からの自由を求めて
悪夢
「ここはおれのいる場所じゃない」
ふたたびバグダットへ


2 きょうはだれかを殺したい
「こいつえを焼いちまえ」
殺した人間の数を自慢する輩
強者(ビッグ・ボーイ)のルール
イラク・バブル
軍事会社が切り盛りする戦争
無差別射撃
タクシーを狙って
無法があたりまえの企業風土
彼らのいいぶん


3 最終列車
イラクネバダ
私たちの物語
つかの間の休息
弟の物語
イラクに戻りたい


4 われわれは軍を護っている
クレセント・セキュリティ・グループ
民間警備会社の内情
傭兵の経済学
愛人みたいなもの、それが傭兵
単調な生活に耐えられず戦場へ
メール一本で武装警備員に
コーテとの出会い


5 あなたがたの物語
民間人を戦闘に使用ことを承認
戦争は金を生み出す
ヤングの場合
正規軍は危険を冒さない
おぞましいスライドショー
母親への誕生日プレゼント


6 おまえはこれから死ぬんだ
傭兵を辞める決意
無謀な作戦
裏切り
拉致
見捨てられた仲間たち


7 おまえの血族
サンフランシスコへ
別れ
兄と弟
無秩序状態
消息不明
記事にならない戦場の現実
チャラビの持っていた動画


8 権限の範囲:神と同一
通信社に届けられたビデオテープ
なにかを探し求めてイラク
軍の警備をアウトソーシング
私兵が動かす戦争
法を守る論理
民間軍事下請け会社
法の空白地帯
ブラックウォーターの悪名
米軍撤退後は私兵が支配


9 人質問題
クウェートからの電話
断片的な情報
現役と退役軍人の命の値段
“バスラのジョー”登場
ヤングをとり巻くひとびと
いいわけ

10 特殊警備にはブラッグウォーター
戦争請負会社への規制
無法の軍団
国務省のお抱え
殺人もおとがめなし
傭兵が引き起こす増悪
起こるべくして起きた虐殺
だれも裁くことのできない存在


11 死をも乗り越える信仰
ニスール広場は蛮行の象徴
「責められるべきはアメリカ人」
切断された5本の指
見つかった遺体
戦場から離れられなかった男
刺激的な仕事
父と息子
揺れる信仰
6つ目の遺体


エピローグ 知恵の書


情報源について
訳者あとがき

                                                                                      • -

 フィジー人はたいがい1日の終わりに仲間同士でトレイラーハウスに集まって、カワカワというちょっと麻薬っぽい苦い酒をちびちび飲む。彼らは元フィジー陸軍兵士のジョナ・マシレワという専属の監督者がいた。マシレワが選ばれたのは、英語に堪能だからだった。発砲事件があった夜、イシがマシレワに話すと、報告書を書くようにいわれた。だが、自分たちがTCN(第三国人)という低い身分であるため、会社に報告するのが怖かった。「自分たちは第三国人で、相手は出稼ぎ組の欧米人(エクスパット)なので、報告するのは難しかった」とイシは私に語った。「向うはチーム・リーダーで、指揮をとり、こっちの勤務評定をする。それに、チーム・リーダーはいつもいっていた。“きょう起きたことは今日いえ”ああいうことが起きた時には、チーム・リーダーはおたがいにかばいあってごまかしてしまう」

外人は他国で天下をとれるのか? チンギス・ハーン源義経だったとか織田信長が実は生きていてとか、そういう話ってけっこう好きだよね。