食の安全と環境−「気分のエコ」にはだまされない 松永和紀 日本評論社(2010/4/20)


目次----------------------------------------------------------------
序章 地産地消は環境にやさしくない?
フード・マイレージ地産地消
輸送だけにとどまらない食の環境負荷
国産小麦と北米産小麦のCO2排出量はほぼ同じ
「国産=安全」も根拠なし
温室栽培トマトも食べて、日本人は健康になった?
地産地消の健康リスク
直売所に車で乗り付けるのがエコか?
トレードオフを検討し、対策を


第1章 農薬は悪なのか?
コウノトリをめぐる誤解
農薬を使わないリスク
農薬をなぜ使わざるを得ないのか?
化学合成農薬の開発
浮上した大きな欠点
深刻な影響を反省し、改善が進む
環境への影響検討はまだ不十分
外見をよくするために使われる日本の農薬
有機リン系農薬への不安
ミツバチの大量死は農薬が原因?
科学的でない減農薬志向が産みだしたもの
沈黙の春は今


第2章 化学肥料の大きな影響
化学肥料が、食料生産を変えた
食料生産は、物質循環
画期的だった窒素化学肥料の登場
窒素が環境を汚染
懸念された水系の汚染
EUは硝酸塩指令を出し対策強化
化学肥料使用に求められるバランス
日本でも、化学肥料の使用量は減少


第3章 肉の消費と食品廃棄が招く日本の汚染
肉食の急速な拡大
霜降り肉を食べたい」が環境負荷を招く
年間9000万トンの家畜糞尿を排出
三分の一の食料を廃棄している日本
食品産業の排出抑制も進まず
生産者が歓迎しない食品リサイクル
リサイクルという名の自己満足
飼料化にも課題
まず考えるべきは、廃棄量の削減
バーチャル・ウォーター


第4章 食料生産とエネルギー消費
忘れられているエネルギー消費
日本農業は、世界のワースト3位
気候変動の加害者か
温暖化の影響はすでに出ている?
日本の農業の脆弱性


第5章 有機農業では解決しない
原則として、化学合成資材を拒否
生産量の少ない日本
有機農産物=安全」ではない
微生物汚染の不安
環境影響は研究途上
有機農業では、20億人〜30億人しか養えない
国内有機農家の工夫は、環境負荷が高かった
アイガモ農法のリスク
科学的な検証の重要性


第6章 「食の安全・安心」か「もったいない」か
回収や廃棄が相次ぐポジティブリスト制
基準違反でも食べる理由
法律違反ではない食品も
「安全・安心」志向がパニックを招く
食品添加物のメリットを活かせない日本社会
「安全」がぜいたくになる時代が来る?
BSEは、もったいない精神から広がった?
第二のBSEも覚悟してリサイクルを推進できるか


第7章 遺伝子組換えを拒否できるか
関心を示す農家も多い
米国のダイズの92%は組換え品種
土壌の流出、侵食の防止にも貢献
食品安全性評価は非情に厳しい
アレルギー誘発の可能性なども審査
安全性評価の厳しさが巨大企業の開発独占を招いた
環境影響も、リスクを検討
思いもよらぬ生態系への影響も
リスクとベネフィットの検討が必要
研究すらできない日本


終章 消費者が変えるべきこと
安全と安心を区別して判断する
制度・法律改正も必要
食べ残しをやめ、食生活を見直す
消費者の“舌”を変える
「大量生産批判」は単純すぎる
生産性を上げる農業土木技術
環境保全型農業」の変更を
環境影響や食の安全、経済性などを統合した検討を


あとがき
索引

                                                                                                                            • -

地産地消の健康リスクは、地域の地理的要因や食習慣によって大きく異なる。そのため、うっかり科学的データを公表したり発言したりしようものなら、特定の地域がパニックに陥ったり、風評被害を引き起こす恐れもある。経済的な打撃を受ける食品業者も出てくる。
 だから研究者の多くは研究の詳細をなかなか公表しない。いや、公表できないデータをわざわざ研究しても、科学者にメリットはない。したがって、こうした研究は往々にして行われないままになっている。

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