おれもメジャーになりたい!!

日本経済新聞社 2月18日の記事 経営の視点 15兆円買収提案の衝撃 「超資源メジャー」支配の足音 の1部

新日本製鉄公正取引委員会の奇妙な”同盟”が成立している。両者はいわずと知れた犬猿の仲。
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ところが海外の資源メジャーの再編に際しては、珍しく歩調がそろった。
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トヨタ奥田硯・取締役相談役は最近、雑誌のインタビューで「全世界が物価変動の渦に巻き込まれており、ここ一、二年でまったく違う形に市場の水準は均衡していくのではないか」と述べた。日本企業が逆風を跳ね返して成長を続けられるかの正念場である。

独占の見方は世界の動向を睨みつつと。関連記事として
経営コンサルタントのつれづれ日記 2月17日の記事:バドワイザー、デルタ航空、リオドセ。資源バブルと玉突きM&A の1部

元々資源エネルギー業界はMAが成功しやすい業界である。最終プロダクツは「コモディティ」(市場に流通している商品がメーカーごとの個性を失い、消費者にとっては何処のメーカーの品を購入しても大差ない状態のこと:ウイキペディアより)であり、そこには差別化の要素がない。一方、開発側はグリーンフィールドと呼ばれる一から採掘してしまう方法は大変時間と資金がかかるため、どうしても規模のメリットが生きる。
この大型MAの仕掛け人は、BHP本人だ。2001年、存続会社であるBHP社と合併会社ビリトン社が「将来世界の資源産業界は3〜4社のメジャーに統合され、あとは弱小のベンチャー的な企業が残る形となり、その中間は空白状態となろう」という業界見通しのために設立された企業である。旧ビリトン社は、資源総合2位のアングロ・アメリカン社が大株主であったこともあり、Rioティントへの対抗心は強かった。したがって今回の提案は計画的な行為といえるだろう。
その後、中位の企業の再編があり、現在、ヴァ-レ(ブラジル:旧リオドセ、世界一位の鉄鉱石企業)が亜鉛、鉛で世界的企業のエクストラータ(スイス)との合併が進行している(これも10兆円前後のディール!)。こういった企業はある一定の鉱石で世界シェア首位等の上位企業であったが、コモディティの相場の揺れが大きく、そのポートフォリオを多様化し、「総合化」を目指すことで経営を安定化させたいようで、ヴァーレもBHPビリトンと同じ戦略を歩もうとしている。
さて、資源バブルの「余波」は様々な国・業界に及んでおり、今後も余談を許さない。
上記ヴァーレのみならず、中国アルミ(チャイナルコまたはチャルコ)がRioティントの株を買い増しする可能性があるという)経緯は拙ブログ(BHPビリトンRioティントに「First and Only Offer!」2月6日)を参照。
この中国という国は、前回のチャイナルコのRioティント株式の突然の購入でも、自国のソブリン・ウエルスファンドの後押し(米国アルミ大手のアルコアの資金もあったが)を受けて買収しており、国家戦略上資源の安定確保のために、 「手段を選ばず」 欧米資源メジャーを震え上がらせている。BHP側もこの行動を「大きな壁が立ちはだかっている」と認識している。中国は自由競争の世界経済の中でも国家介入を堂々と行っているとそのうち、問題を引き起こしかねない。

こうしたいかにもな物に関わらずあらゆるものがコモディティ化する社会での独占のあり方は考える必要はあるのだね。
中国の、目覚めた檻に入った獅子の豪腕ぶりにさすがにびっくりだけども、それは一応自覚はしているみたいです。大雑把に観るとそんなかわりばえしないかもしれませんが。
中央アジアで拡大する中国のプレゼンス-天然資源をめぐる動きと市場としての可能性- ジェトロ編集 2008/01/24
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中国政府は多くの民営企業に海外進出を行わせ、海外の鉱区における石油・天然ガスの開発の開発および買収に参画させている。それには政府の強力な支援を得た、CITICのような石油・天然ガス事業を専門としない企業による海外での石油探査も含まれている。ユノカル買収の失敗後、中国国内の多くの専門家は、民営企業による海外での石油探査は国営企業に比べ柔軟性が高いと考えるようになった。前者は政治的にセンシティブではなく、区画を獲得する可能性が高い。これは2006年の中国民営企業の海外での実践において証明されている。

と、経済的にもですが配慮は欠かせないのですね。